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今宵の逸品 『スパイシーお子様カレー』
セットにみた“思いやりの味”誕生のワケ
ついに清美が料理人を目指すことを決意!最終回までの展開に目が離せない桜田ひより主演ハートフル“グルメ”ドラマ『あたりのキッチン!』(東海テレビ・フジテレビ系/毎週土曜日23時40分)。
今夜放送の第9話では、さらに新たな人物が登場!しかも11歳の男の子!! 彼は一流料理店「和食おおそね」の料理長の息子・樹(森島律斗)で、なぜか清美(桜田ひより)にプロポーズをするという展開に…。その理由は、ぜひ放送で!
そして今宵のおススメは、辛さ控えめだけど大人も満足できるスパイシーお子様カレー。もちろん東京・恵比寿「賛否両論」店主の笠原将弘氏が料理監修を行った、ここだけのオリジナルレシピだ
第9膳 子ども向けと侮れない「スパイシーお子様カレー」

「子どもの味覚に合わせると、どうしてもお父さんが満足してくれなくて」と、今日もどこかの家庭で起きているに違いない「カレーの辛さをどうするか」問題。そこで清美が選んだのは、本来カレーに使われるスパイスではなく、別のスパイスで爽やかな辛さを目指す、という方法。このレシピなら大人も満足できる辛さがありつつ、子どもでも食べられるカレーにできるはずだ。
ポイント①

スパイスは辛みが残らないものをチョイス
唐辛子やガラムマサラなどカレー味を構成するスパイスは、いつまでも辛さが舌に残るものが多い。そこで今回はしょうがとにんにく、七味唐辛子とあらびきコショウでピリッとさせつつも、後味が爽やかな調味料をセレクト。また唐辛子は刻まずに丸ごと鍋に入れ、煮立った段階で取り除くと、ほど良い辛さに仕上がる。
ポイント②

市販のカレールーは、いつもの半量で
もちろんしょうがやにんにくだけではカレー味にはならないので、市販のカレールーも使用する。ただし、今回選んだスパイスの風味を引き立たせるため、使うのは普段の半量でOK。また火を止める直前にバターを混ぜ入れると辛みがやわらぎ、人気のバターチキンカレーのようなまろやかな味わいになる。
笠原将弘のもうひと手間!
「ご家庭で食べるカレーの辛さをどうするかは、悩ましい問題ですよね。清美さんが選んだスパイス以外だと、粉さんしょうやカルダモンが合うでしょうか。スパイスではないけれど、みそも結構マッチすると思います。また、しょうゆとみりんを少量加えると味に深みが出るので、辛さを補うことができるかもしれません。一方で、『やっぱりもう少し辛さがほしい』という方は、柚子こしょうを加えるとパンチの効いた辛さに仕上がります」


善次郎の生きざま表現
こだわりの「阿吽」セット

『あたりのキッチン!』の舞台である定食屋「阿吽」。「ぜひ一度食べに行きたい」といった声も多いが、実際のお店ではなくセットを組んで撮影を行っている。そこで重要になるのが、アートコーディネーター(美術)の仕事。今回はこの道30年のベテラン、フジアールの平田貴幸さんに、定食屋の雰囲気を出すため、「阿吽」のセットでこだわった部分について聞いた。
「阿吽」セットは、善次郎という料理人を思い描くところからスタート
まず初めに、「阿吽」をどういう雰囲気にしたかったのか、コンセプトについて尋ねた。
「『阿吽』は街の商店街にある、ごく普通の定食屋さん。そして1年前までは夫婦二人で営んでいましたが、奥さんが亡くなってからは善次郎一人で店を切り盛りしている…、という設定です。ただ、どこにでもある定食屋さんとは少し趣向を変えたいと思いました。その理由は善次郎の経歴にあります」と平田さん。
今夜放送の第9話で明らかにされるのが、善次郎の過去。実は、かつて料亭で修行をしていたこともある料理人だったのだ。
厨房に立つ際、必ず白い調理服を身にまとうのも、そうした経歴を考えるとうなずける。

メニュー1つにも、想い込めて…
「店内のあちこちに、そうした善次郎の経歴を匂わせる要素を盛り込んでいます」と平田さん。たとえば壁のお品書き。細長く切った模造紙にサインペンで料理名を書くのが定食屋の定番だが、「阿吽」では木の板に毛筆で書かれている点がポイント。「定番メニューが木の板で、季節限定のおススメ料理は和紙に書いています」

そう言われると、テーブルに置かれたメニュー表やショップカードに和紙を使用している点も善次郎らしい。そもそも「阿吽」のロゴも、ちょっとおしゃれな和食店のような雰囲気を醸し出している。

「そうした部分に料亭出身の善次郎らしさを表現しつつ、品書きに書かれた価格を見ると、どれも1,000円以下に収まっています。 この辺りには、お客様を思う善次郎の気持ちを表現しました」ほとんど気付かれないようなこうした部分に気を配るのも、美術の仕事なのだ。
ピンクのフライパン そこにはある理由が…
また、「阿吽」の二階には善次郎と清正の部屋があり、厨房の隣には居間がある。住居部分と店がつながっている造りにしたのにも、理由があるという。
「たとえば厨房で働く善次郎を、清正が居間から見つめるといったシーンなど、撮影のバリエーションも増えるので、こういう造りにしました」

そして平田さんが特にこだわったのが、住居部分に残る善次郎の妻・朋子(西尾まり)の面影なのだとか。
「住居部分にも簡単な台所があるのですが、そこには父子二人暮らしには似つかわしくない、ピンクのフライパンが置かれています。これは善次郎の奥さんが生前に愛用していたものという設定です。奥さんが亡くなってまだ1年。まだ心の整理がついていないだろうし、そういうものを処分する父子ではないということですね」

改めて居間を見ると、フライパンどころか大きな鏡台もそのまま残っている。「阿吽」のセットには、善次郎のこれまでの人生や家族への想い、料理に対する姿勢などが見事に反映されていた。そんな部分にも注目すると、『あたりのキッチン!』がより楽しめるに違いない。
