SPECIAL

INTERVIEW

三上沙耶役 筧美和子さん

ひかり(渡辺麻友さん)の出現で恋人、和也(堀井新太さん)との間に距離が出来ている沙耶。物語の展開とともに、沙耶はひかりへの憎しみを増加させます。一見おしとやかな “お嬢様”タイプながら、胸のうちには嫉妬が渦巻いている沙耶を筧さんはどう捉え、どう演じているのでしょうか。

沙耶は大人しいお嬢さんかと思いきや、実はかなり強烈なキャラクターですね。
最初にどういう役か、お話を伺ったときはまだ台本が出来ていませんでした。聞いていたのは和也さんの現恋人で、それがひかりさんの出現で…、というくらい。ひかりさんが現れてから、沙耶の行動がどんどんエスカレートしていくのを台本で読み、きっとドラマのスパイス的存在になると思いました。かなり強烈ですけど(笑)。予想もつかない展開の中で沙耶が物語にどう関わり、どんなことを仕掛けていくのか、楽しみながら台本を読みました。
演じてみて、どんなことを感じていますか?
「なぜこんな行動を取るんだろう?」とやっぱり考えます。ひかりさんと和也さんの間に何があるのか知りたくて、行動に移すところは視聴者の方と同じ目線なのかな、と思いますが、やることがいちいちとっぴなので(笑)、沙耶の心情を理解したくていつもグルグルと模索しています。この物語は、登場する誰もが心に問題だったり、悩みだったりを抱えていて、実は沙耶にも…、ということがのちのち明らかになります。私もそういう展開だと知ってからは、沙耶の異常に見える言動を少し納得できるようになってきました。

今後、女性ならではの怖さ、ズルさが垣間見られる場面もありますね。
私もそのときどき、沙耶の言うことが真実なのか、和也さんを繋ぎ止めるための嘘なのか、わからなくなることもあるのですが、色んな角度から考えて沙耶の心に辿り着きます。
その部分ってすごく重要です。心根がねじ曲がっているのか、ただ必死なだけなのかって全然違うと思います。沙耶の場合、どちらなのかと言えば…(笑)。

沙耶はすごくいびつな人。いまは執着の塊だと思います

沙耶を演じていて、「ここは分かる、理解できる」という面もありますか?
沙耶は突拍子もないことをしているように見ます。第2話でもあんなに必死にクローバーを探さなくてもいいんじゃないかって思うほどでした。でも、何かにのめり込むと、人はあそこまで突き詰めてしまうかもしれません。それは誰にだって、私にだって起こりうることです。沙耶に関しては、そうならざるを得なかった過去があり、そのためにストッパーがないと思っていただけたら。今後もさらに壊れていきます(笑)。
そもそも筧さんは、沙耶をどんな女性だと思いますか?
すごくいびつな人ですね。もともと性格は悪くないし、人に辛く当たるようなタイプでもないと思います。ひかりさんと出会うまでは和也さんとも幸せだったでしょうし。ただ、実は彼女は彼女なりの過去があって、和也さんを失うことを何より恐れている。全身全霊で愛する和也さんがいなくなるのは耐えられない、和也さんしかいないと思っているようで和也さんのことも見えていないから、演じていても、見えない何かに対する執着の塊だなと思うときもあります。

さらにここから、ひかりへの攻撃を一層強めますね。
ひかりさんがこれまでどんな風に生きてきたのかを知ったら、普通はためらうかもしれません。でも、沙耶の場合は和也さんを取られまいと必死で、『私だってこんなに辛いんだから!』というほうが大きいのでしょうね。恐れず言うなら、自分と和也さんが幸せならそれでいい、ひかりさんがどうなろうと私には関係ない、というくらいの気持ちかもしれないです。

お芝居の現場は濃密で濃厚。これからもその場にいたい

改めて、沙耶の見どころをお聞かせください。
作品がラブサスペンスということで、沙耶は“ラブ”の部分で大いに物語をかき乱します。とは言え、私は沙耶をただの狂気的な人物には見せたくなくて、彼女の根っこにある気持ちを大切に演じたいと思っています。現場でもスタッフさんから「キャー! 沙耶が怖すぎる」とよく言われます(笑)。それは誉め言葉だとも思っていますし、その上で沙耶の心情もしっかりと伝えていきたいです。

今回のような一筋縄でいかない役を演じていかがですか? また、女優としての今後の目標をお聞かせください。
沙耶の心の動かし方、あり方は、これまでのお芝居以上のものを求められていると感じていて、殻を破らなきゃいけない、乗り越えなくてはいけないと思っています。撮影が終わったとき、何か見つけていたいですね。
お芝居の現場って、私にとってはとても濃厚な空気が漂っているというか、濃密な時間を過ごしている感じがするんです。もともと私は女優になりたい! という気持ちで演技を始めたわけではありません。でもいろいろなチャンスをいただき、作品に関わっている時間が私にとってかけがえのないものになっています。発見だらけで収穫がいっぱいの毎日です。たくさん吸収していきたいです。