毎週土曜日よる11時40分

SPECIAL

溝端淳平「そもそも僕は仮面をつけない人」

事件の真相が不明の中、ついに同級生の一人が死亡しさらに溝が深まる親友達……。ドラマが折り返し点を迎えた中、主演・溝端淳平にこの作品への思いを改めて聞いた。

現場では、“目力禁止”

撮影が進んでいく中で、改めて作品への感想と洋輔の印象を
セリフの行間に色々な思いが込められていますし、サスペンス要素もふんだんに盛り込んであって、とにかく展開が速いですね。「優しさとは」、「友情とは」、「人間らしさとは」など、いろいろ考えさせられます。誰しもが仮面を被って生きていて、今は匿名でのネット社会も普通になり、人との関係性ということについてもっと考えてもいいのでは? と僕自身も感じていたので、そんな現代にとてもマッチしたドラマだと思いました。
洋輔に関しては、普通に見えて少し冴えない青年が隠し持っている狂気が怖いなと感じています。さまざまな事を我慢して、色々なものに流されて、自分を出す勇気もない。そういう人が溜め込んできた狂気や悪とか、本当はとても難しい役だと思いました。
演じる上で気を付けていることはありますか?
最初の頃はもっと洋輔に対して、(感情の部分で)入り込んだり、もしくはそぎ落とさなくてはいけないのかと思っていたのですが、思いのほかすっと役に入っていけています。ただ、普段の洋輔は少し伏し目がちにして、“目力禁止”にしています。僕は昔から目力があったようで、新人の頃に主役の方のうしろのほうで普通に立っていただけで、「目を動かすな!」と監督に怒られたことがあったんです。目が大きいので、目の動きが気になるそうなんです(苦笑)。
おそらく洋輔は、今まで映像で溝端さんを観ていた方にとっては、印象と違う役なのでは?
これも巡り合わせですね。実は舞台では二重人格で狂気的な役を演じたことはありましたが、映像ではおそらく僕が洋輔のような役をやるイメージはないと思いますが、今回、挑戦する機会を与えてくださったので、いい意味で皆さんを裏切りたいと思います。
毎回、作品や役と出会うたびに、“自分はダメだ、やっぱりこの仕事向いてない”と思いながらやっていき、ようやくなんとなく出来るようになったかなと思っては、次の現場で、“あ、また出来ない”の繰り返し。本当にこの仕事は答えがないと思います。でも、だからこそ魅力的なんです。
“仮面”、“二面性”がドラマのキーになっているとは思いますが、演じること以外で、溝端さんが“仮面をつける瞬間”を意識することはありますか?
そもそも僕は仮面をつけない人間だと思います。人と話す時には直球で話し、人の仮面も引き剥がしにいきますからね(笑)。ちゃんと腹割って話そうよというタイプです。ただ、全部オープンに話すほうなので、「それが逆に噓臭い」と言われることはあります。裏表がなさすぎて、裏がありそう…と。でも俺、どこに行ってもずっとテンションが変わらないんです。今の現場でもよく話しているほうだと思いますし、だいたい同じギアなんですよね。

仮面を被れない時点で、僕は子どもなんだと思う

確かに、現場はいつも活気があり、明るい印象です
そう感じてくださるなら嬉しいです。たぶん僕がみんなに明るさの押し売りをしているんでしょうね(笑)。普段から明るくメリハリのある現場が好きなので、現場ではスイッチをオフにすることはあまりないですね。
洋輔や、洋輔の友人たちも大人になり切れていない印象ですが、溝端さんにもそういう部分はありますか?
大人になりきれてなく、ガキっぽいところばかりだなと思います。思ったことをすぐに言ってしまうし、ガキ大将みたいなところがまだ残っていると思うんです。大人って、自分のことをむき出しにはしないですよね。だから、仮面をかぶれない時点で、僕は子どもなんだと思います。つい思ったことをストレートに言ってしまうから、正義という狂気を人に向けてしまうことはあるかもしれません。正論を振りかざすことによって人を傷つけてしまい後悔した経験もあるので、そういう部分も含め、自分は子どもだなと思います。
印象的なシーンを教えていただけますか?
美郷(瀧本美織)に、洋輔の二面性が見えてしまったシーンです。いつもの洋輔の弱い部分と、もうひとつの一面を出してしまった時に美郷が止めに入ったシーンがあったのですが、自分の中ではとても難しいシーンだと思っていて。でも瀧本さんが出番がないときにも僕の芝居を見て気持ちを作ってくださり、純粋に受け止めてくれたので、台本よりも濃い感情で演じることができました。これからのシーンに向けて、(洋輔役を)一歩前進出来たと思った瞬間で、瀧本さんには感謝しています。
後半に差し掛かり、5話以降もますます楽しみです
同級生への友情や、愛する人への優しさ、思いやり、一方で人間の儚さや、もろさ……そんな思いが凝縮された全8話です。洋輔を含めた登場人物全員が何かを隠して、十字架を背負っているんです。仮面を被って生きている、この人間臭い生き様をドラマを通して観ていただき、何かを感じ取っていただけるのであれば、非常に嬉しいです。