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教えて!ホーリツカンシューさん

第2回 「保釈制度」

「保釈」「保釈金」…特に有名人が逮捕されたニュースなどでよく登場する言葉だと思いますが、案外どういう意味か正確に知らない人も多いのでは?
今回は「保釈制度」について解説します。

「保釈」というのは、保釈金を納め、逃げたり証拠隠滅したりしない約束をする代わりに、釈放してもらう制度です。適切かどうかわかりませんが、「人質のようなもの」という表現が一番わかりやすいかもしれませんね。
保釈金(正確には「保証金」)は、一般人であれば150万円から300万円くらいになるのが相場です。経済事情などに応じて、「これくらい預かっておけばコイツは逃げない!」という金額を設定するわけです。金持ち、権力者は大変高額になるわけですが、そこはケースバイケース。仮に有名人が、状況からいって「逃亡の恐れはない」とみなされれば割と安い保釈金額が設定されることもあります。
ちなみに、ライブドア事件では5億円、過去最高額20億円が設定されたとか!すごいですね。

保釈金は、無事に裁判が終われば、有罪でも無罪でも戻ってきます。一般の方だと、家族にお金をかき集めてもらったり、保釈金を立て替えてくれる機関にお願いしたりということもあります。
いくつか事例をご紹介します。

再審イメージ

ケース①
父子家庭のお父さんがある犯罪で逮捕!初犯なので執行猶予判決が見込まれるが、通常は起訴から判決まで1~2か月は拘束される。家計を支える父親には1日も早く仕事に復帰してもらわなければ、ということで、起訴後すぐに保釈申請。保釈金は200万円。でも、お金がない!娘がリーダーシップを発揮、弁護士もお宅におじゃまして家族会議。彼氏にも協力してもらってなんとかお金を用意。お父さんと接見してそのことを伝えると、感動して涙、涙。判決後、お父さんとは二度とこんなことのないようにと握手をして別れた。家族が一丸となって父の窮地を救ったことで、きっともう二度と犯罪に関わるようなことはないはず…。

ケース②
自営で大変な重労働をしていたご主人が逮捕され、全くの未経験者である奥さんが1日の休みもなくご主人に代わって仕事をすることに。誰が聞いても女性にこなせる仕事とは思えない…。保釈に反対する検事は、「妻の力によって経営できているのだから保釈の必要はない」と。そんなことを言っても、奥さんの体も悲鳴を上げている。前任の弁護士の保釈申請が却下されていることもあり、もはや「保釈ダメでした」じゃ済まされない。奥さんから仕事の状況を詳しく聞き取って、そのまま裁判官に伝えることに。「ここで奥さんが倒れて事業を続けられなくなったら、家族全員が路頭に迷うんだ!執行猶予をもらって出てきたって、これじゃ更生なんてできません!」保釈はとても微妙な事案で裁判官も迷ったようだが、ご主人は何とか出てくることができた。

保釈は、「無罪推定」の原則にのっとって、被告人に認められた正当な権利です。ところが、否認していると保釈が認められにくい現実があり、“人質司法”と批判されています。早期に保釈を勝ち取るのも、弁護士の腕の見せどころのひとつなのです。

ドラマの主人公・浅利祐介も、そんな頼れる弁護士を目標に多忙な毎日を過ごしています。

「小宮夏樹法律事務所」 弁護士 小宮夏樹

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