毎週 土曜日 よる11時40分〜

教えて!ホーリツカンシューさん

第4回 「国選弁護人」

皆さんがよくお聞きになる言葉に、「国選弁護人」というのがあると思います。

「国選弁護人」とは、国が被疑者や被告人につける弁護人(弁護士のこと)をいいます。 これに対して、被疑者が弁護士にお金を払って依頼する弁護士のことを「私選弁護人」といいます。 国選弁護人という制度は、お金がないなどの理由で弁護士を雇えない人のためのものと言えます。


時々、「国選弁護人だとやる気がないのでは?」「報酬が安いから国選弁護人は誰も引き受けたがらないのでは?」という質問を受けることがあります。
ドラマや映画、小説でのイメージが大きいのかもしれませんね…。

国選弁護人

まずは国選弁護人の報酬はいくらくらいなのか?というところからお話ししましょう。
国選弁護人には、「被疑者国選」と「被告人国選」があります。
少し前までは、起訴されて「被告人」の立場にならないと国選弁護人をつけられなかったのですが、近年は法律が変わって、条件次第で起訴前の「被疑者」の段階から国選弁護人がつくことができるようになりました。
国選弁護人の報酬は、被疑者国選から被告人国選まで(つまり起訴前から起訴後まで)担当した場合、だいたい15万円程度です。
被告人国選のみの場合は、8万円程度かと思います。
私選弁護人の着手金・報酬相場は、30万円から100万円程度(事案によってはそれ以上)となりますから、国選弁護の報酬がいかに安いか分かると思います。

では、先ほどの「やる気」という問題に戻りましょう。国選弁護人と私選弁護人とで、やる気に違いはあるのか?
言い切ってしまいましょう。やる気に違いはない!と思います。
どんな事案にも全力で取り組むのが弁護士の本分だからです。
ただ、国選弁護を頼む人は基本的にお金がなく、示談をしたくても示談金が用意できない、保釈を求めようにも保釈金が用意できないから保釈請求自体をしない、というケースがどうしても増えます。弁護士にいくらやる気があっても、経済的な理由から弁護活動が制限され、結果として私選弁護人と比べて違いが出てきてしまう、というのは言えると思います。


私選弁護人の方がやる気があるのではないかと言われてしまうのは無理からぬところかもしれませんが…でも、あくまでも弁護士の目的は、被疑者・被告人の最大利益。 あなたがもし当事者になったら(なりたくはないでしょうけど!)、国選であろうと私選であろうと弁護士は必ずあなたの力になります。安心して頼ってくださいね。

扶桑第一法律事務所 弁護士 村松 聡一郎

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