
Jホラーの巨匠、中田秀夫監督「数字の演出は『リング』から」
殺陣初挑戦の佐藤大樹 アクションコーディネーター絶賛!
INTERVIEW

いきなりの時代劇展開にSNSが祭りとなった、白石聖主演・オトナの土ドラ『恐怖新聞』。本作は、未来に起こる災厄を予言し、読むたびに寿命が100日縮むという恐怖新聞が届くようになった女子大生・詩弦の、死と隣り合わせの悪夢を描く新感覚ルール系ホラーだ。
第6話を前にお届けするのは、本作演出・中田秀夫監督のインタビューから。中田組ではおなじみだが、他ではあまり聞かない「数字で示す演出法」や主演・白石聖の魅力について語ってもらった。撮影現場での中田は、モニターを見ながら常に何かを台本にメモをしている姿が印象的だった。Jホラーの巨匠と言われる中田のこだわりや独特な視点に迫る。
そして後半では、第5話で殺陣初体験にして素晴らしい身のこなしが話題となった佐藤大樹を指導した、アクションコーディネーター・東山龍平のコメントを紹介する。
中田監督「数字で示す演出法は約25年前の『リング』から」
<中田秀夫監督インタビュー>
- 数字を使った演出法はいつ頃から?
- 『リング』(1998年公開)の頃からで、もう25年ぐらいやっていますね。『リング』は呪いのビデオテープを見た人が1週間後に呪い殺されるっていう話だから、ビデオを見た1日目から7日目まで徐々にその人の命が短くなっていくわけだけど、撮影的には6日目の話から撮ったりもするわけです。そうすると主演の松嶋菜々子さんに対して「もうレベル4ですよね、松嶋さん」とか、今がどの段階の撮影なのかを示すところから始めるようになったんです。そうしているうちに「今はレベル1に下がりました」とか「0.5です」とか、だんだん数字を刻んで、より細かく示すようになりましたね。

- 佐藤さんも「今の3.5倍でやって」と言われたのが衝撃的だったようです。
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普通は「3倍と4倍の差ってどんなんだっけ?」ってなりますよね(笑)。でも現場に入ると、俳優さんって「3.5倍」とか言っても「ははん」とか笑わずに、結構マジメに「3.5ですね、わかりました」とか言ってやってくれるんですよ。なので、リハーサルのときから「僕、(演出指示で)数字を使うから」と話したりしますね。
数字で示す演出法に慣れているというのもありますが、たとえば「もう少し」って言われた俳優さんとしては「もう少しって、どれぐらい少しなのよ」って思うじゃないですか(笑)。だから「極端にデカくやって」って言うより「10倍でやってください」って言ったほうが伝わりやすいかなと思ってこの方法になりました。

「ホラーはヒロインがミソ」中田監督が見た白石の覚悟とは
- 白石聖についての印象は?
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まず、連ドラ主演が初めてで、しかもホラー作品。第1話から血しぶきを浴びたり、上から人が降ってきたり、お父さんが串刺しになったり、そのたんびに叫んだり、目をひんむいたり、わなわなしたりと、ホラー的な表現をやんなきゃいけないわけですね。
「殺陣の覚え早すぎる!」アクションコーディネーター佐藤絶賛!
<東山龍平コメント>
佐藤くんと殺陣稽古ができたのは実質3日間くらい。あとは撮影の合間で1、2時間、時代劇に慣れるための所作事(歩き方、座り方、刀の差し方)や、基本的な刀の振り方の稽古を5日ほど行いました。
佐藤くんが殺陣で苦労していたのは相手との距離感、足捌き、タイミングでしょうか。相手がいてお芝居があって成立するのが殺陣ですし、相手の体格、レベルによっても諸々変わりますから、一番難しかったのではないかと思います。

プロのダンサーということもあり、佐藤くんは手順の覚えが物凄く早かったのを覚えています。すぐそれなりの形にしてしまうので、どんどんスピードも上がってしまい、その都度、竹光(木製の模擬刀)からジュラルミン刀(真剣に近い重さ・バランスのもの)を持たせて同じ動きを反復し、重たいものを振り回しているということへの意識をはっきりとさせて、リアルとケレンの間を行ったり来たりしていました。
私が思う第5話のハイライトは「佐藤くんvs殺し屋2人」で見せた、3人の立ち回りです。本当は3倍の量をやるつもりだったのですが「アクションというよりは殺陣をやらせたい」という井上昌典監督の希望があり、武士(もののふ)として、命の賭し合い、刀の怖さ、呆気なさ、切なさを表現できたらよいなと思い3人に託しました。編集部さん含め、現場を支えた皆さんの協力で3人が躍動できたのだと思っています。視聴者の皆さんにどのように伝わるか不安であり、楽しみでもあります。

今週土曜の第6話は、現代に戻った詩弦の、前世の罪の償いが始まる。その前に、恐怖新聞の起源となる江戸時代編の第5話をまだ見ていない方、そして、佐藤の素晴らしい殺陣シーンをもう1度見たい方はFODへお急ぎください!
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