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麿赤兒と大久保鷹 唐十郎劇団のレジェンド “パパ恋”で愛を語る

小澤征悦主演、家族の絆を切なくもハートフルに描き話題のオトナの土ドラ『パパがも一度恋をした』。第4話では、さらに演劇界を揺るがす話題も!唐十郎率いる劇団「状況劇場」の全盛期を支えた二大看板俳優・麿赤兒と大久保鷹の共演だ。

唐十郎率いる「状況劇場」は、60年代から70年代、既存の商業演劇から逸脱した斬新な作家性と、社会の激動を反映した同時代性によって、若者から熱狂的な支持を得た“アングラ演劇”ムーブメントの中心にいた。根津甚八、小林薫、佐野史郎、渡辺いっけいら、多くの名優たちを生みだした。その状況劇場の全盛期を支えた二大看板俳優が麿赤兒と大久保鷹だ。共演は、1969年大島渚監督の映画『新宿泥棒日記』以来で、なんと50年余りの時を経て「パパがも一度恋をした」でレジェンド対決が実現。

大久保鷹が演じるのは、タロスケ(麿赤兒)の従兄弟で、焼き鳥屋を営む・菊三。第四話では、菊三の営む焼き鳥屋に吾郎たちが訪れ、タロスケと菊三の息の合ったセリフの応酬も。そして撮影現場では、麿が演技する姿をモニターで見ていた大久保が「やっぱりこいつの表情はいいんだよな」とスタッフと談笑する姿もあるなど、終始フランクな雰囲気が印象的だったお二人に、共演の感想や、ドラマについて伺った。

麿赤兒「たまに目が合ったけど、しらん顔(笑)」

お仕事以外でお会いするのは…。
大久保/
こうやって顔を合わせて話すのはしばらくぶり。でも、やっぱり会うと嬉しいね。
麿/
毎日は嫌だけど、たまに会うからいいんだぞ(笑)。
大久保/
お互いうるさいから(笑)。
麿/
久しぶりに会ってくだらないことを話して、そして、相変わらずバカだなー、と思います。
久々の共演、いかがでしたでしょうか?
大久保/
芝居の雰囲気もあるけど、まだバカをやっているな、お互いに、と思ってね。
麿/
こちらもセリフがあるので、たまに目が合いましたが、しらん顔をしました(笑)。
大久保/
お互いに目を逸らしていたりして(笑)。

大久保鷹「麿とは一緒に稽古場にいるだけで楽しかった」

お互いのことを当時も含めて、どう思われていらっしゃいますか?
麿/
ライバルといえばライバルになります。(状況劇場の)当時も、鷹のほうがいい役もらったな、と思うこともありました。
大久保/
麿とは一緒に稽古場にいるだけで楽しかった。僕らは遊びと物作りが同時にできた時代に育ったんです。その後も麿が状況劇場をやめて踊りの旗揚げをしたときも、「俺は観に行くんだ」と劇団の皆に言って。
麿/
よく観に来てくれていたよな、ありがとう。
大久保/
この信頼よ(笑)。好きなヤツとの付き合い方というのはいつまでも変わらない。たまに逢えば、「バカが」とか、「このやろう」とか言いますし、頻繁に会うことはないけど、お互いが生きていればいい。
麿/
そうだよな、元気で。こうやって昔のことを言い合える仲間は少なくなったからね。

麿赤兒「もうろくぶりすらも見せつける」

当時を知る方は、“レジェンド二人の共演”と驚くと思います。
麿/
あの二人、まだ生きていたのかってね。でもこのレジェンドも、もうろくしたな。でも、そのもうろくぶりすらも見せつけるというね。
大久保/
でも、俺らの仕事ってそういうことだよ。自分の顔がどう映っているか分からないけど、シワぐらいは映っているだろうって。
麿/
でもシワには(俺らの)年月があるから、そこをまたカメラで捕らえていただいたら嬉しいじゃないですか。
大久保/
お前、いいこと言うな(笑)。

麿赤兒「変容していく愛の形を笑いながら観る楽しさ」

視聴者の皆様にメッセージをお願いします。
麿/
このドラマは設定がとても楽しいです。男同士のやりとりなのに、中身は女性だとか、さすが令和のドラマだと思います。
大久保/
亡くなった女房が男の姿で蘇ったなんて、なかなか凄いドラマだよな。
麿/
難しいと思うんですよ、あの役(山下吾郎)は。だから小澤さんがどういう風にやられるのかと後ろから見ていると、とても面白く演じられている。
大久保/
人の心というのはどこに向き合うべきかという、殺伐としたこの世の中で、こういう家族の話は結構いいなと思いました。義理人情を感じたね。
麿/
家族になった以上、人情というものはいつの時代も変わらないから、そこに変容していく愛の形というのを笑いながら観る楽しさがこのドラマにはあると思います。
大久保/
令和の愛の形ね。麿はその家族の長だからな、お前のお茶目で可愛いところもちゃんと撮ってもらえよ!(笑)。