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ハーバリウム監修 LOABEL / Rio先生インタビュー

オトナの土ドラ「リカ」を彩るキーアイテムといえば、なんといっても“ハーバリウム”! ドラマの中ではリカの不気味さを演出する存在ですが、リカの部屋をよーく見て頂くと本当にキレイで素敵なハーバリウムがいっぱい並んでいるんです。そんな今作のハーバリウム監修をお願いしているのがLOABEL 代表/デザイナーのRio先生こと岡田理央さん。ハーバリウムの研究・制作指導の第一人者である先生に、この道に進んだきっかけやハーバリウムの魅力など、いろいろお聞きしました!

Rio先生がハーバリウムを始めたキッカケは?
祖母が生け花の先生だったこともあり、幼い頃からお花が身近で、元々お花が好きでした。自分自身は大人になってからフラワーアレンジメントを習い、資格もありますが、教室を開くとかではなく、あくまでも趣味のレベルでした。なので、若い頃はぜんぜん別の仕事をしていたし、数年前は専業主婦でした。そんな中、数年前に友人宅で、初めてハーバリウムに出会い(最初は名前も分からず)、そのオシャレさと綺麗さが衝撃的で、且つ、幼い頃に見たことのあるような懐かしさも感じ、すごく惹かれている自分がいました。だんだん記憶が蘇ってきて、祖母が持っていたものが、雰囲気は違えど、お花のようなものが液体に浸っているのは同じだった気がして…増々、自分の中で、ハーバリウムというものが、気になる存在となっていきました。気になって調べると、当初はほとんど検索にも出てこず、東京で一店舗、販売をされているところが見つかったくらいで、もちろん、習える教室もなければ、他に買えるようなところもありませんでした。

もともと、お花に関しては、職人側の自分なので、だんだんと、無性に作りたい願望に襲われるようになり、それからというもの、絶対にハーバリウムを自分で作ってやる!と独学で研究を始めました。どうしたら一番お花が綺麗に見えるのか? 水だとカビが生えてしまうから何を入れれば良いのか? 研究しているうちに、増々ハーバリウムに惚れこんでいく自分がいました。あらゆる業者さんに電話をしたり、見解を聞いたり…あの頃が懐かしいです。そういった中で、最適なオイルができあがり、最適なお花の条件なども分かっていき…。その時思ったのです。自分がこんなにも惚れこむ、魅力的なハーバリウムなのだから、同じように惚れこんでくれる人、習いたい人は沢山いるんじゃないか?って。

そこからは、ものすごいスピード感でした。関東で初めての教室を作ろう、と、自分でもビックリするスピード感で、教室を立ち上げました。教室の立ち上げをしたこともなかったので、すべてが分からない中、すべてが手探りでしたが、きっと、これを作りたい人は絶対にたくさんいるはず!これを綺麗だと思う人はたくさんいるはず!これが欲しいと思う人はたくさんいるはず!頭にあったのは、それだけでした。
ハーバリウムの最大の魅力はどんなところでしょうか?
どんな人にとっても、花と身近になれるのがハーバリウムの素晴らしさです。
例えば生花はお手入れが難しいですし、フラワーアレンジメントは、習うには少しハードルが高いと思っているかたも多いようで。一方、ハーバリウムは一度作ればお手入れもいらず、置くだけでお部屋が華やかになります。小さいので場所も選ばず、インテリアとして、雑貨として、部屋を彩ることができます。もらったかたが、飾りやすいので、心をこめて手作りをしてプレゼントするというかたもとても多いです。最近では、生花の持ち込みを禁止する病院も増えましたが、ハーバリウムなら大丈夫なので、病室にもお花を飾ることができます。小さなお子様でもとても簡単に作れる反面、大人が何時間かかっても完成しないくらい奥深く、難しい二面性が、ハーバリウムの不思議な魅力だと思います。なにより、ハーバリウムを通して、お花が、あらゆる人の生活に身近なものとなる。 これがハーバリウムの最大の魅力だと思います。
やはり、お花って、癒し効果があるのか、人の心をあったかくする気がしますよね。
ハーバリウムを作るにあたって、どのようなこだわりを持たれていますか?
数週間で色褪せしたり、色落ちしては、悲しいですよね。なので私は、とにかく、ハーバリウムのクオリティにこだわっています。綺麗が長持ちするハーバリウムにするためには、良質なお花や高品質なオイルを使用することはもちろん、時間が経ってもずっと楽しめるように、『デザイン』することも大切にしています。ハーバリウムには、植物標本という意味があるのですが、単なる植物標本にとどまらず、そこに、プラスアルファで『デザイン』の要素を入れることで、それは個々の『作品』となります。

レッスンの時は、お花の下準備にとても力を入れており、そうこうしている間に、生徒さんたちにもこだわりが芽生えはじめるので、デザイン作りにも非常に時間がかかります。なので、レッスンでは、オイルを入れるまでに、とてもとても時間かかります。生徒さんの中には、1本作るのに3時間くらい教室にいらっしゃることも多々あります。初めてのかたでも、同じようにやっていただいており、結果、素晴らしい作品ができます。

クオリティが高いハーバリウムは、年月が経って雰囲気が変化はしても、かえってアンティークな魅力が出たりして、ずっと楽しめます。あと、そうそう、こだわりの話に戻ると、私は、レッスンの際に『デザイン』の部分には口出ししないことにしています。よく、「どっちの色が合いますか?」とか「これだとどの瓶が良いですか?」と、質問するかたがいらっしゃるのですが、私が答えることで、そのかたの作品の個性や独創性を邪魔してしまい、私の要素が入ってしまうので…。心を鬼にして(笑)いつも、頑張って悩んでいただいており、悩んで決めたことが正解であり、1番素敵になる。とお伝えしています。考えてみれば、普段の生活でもそうかもしれません。私は、悩みを相談された場合も、決定的なことには口出しをせず、頑張って悩んで、本人が決めて出した答えをとことん応援する!みたいなところが、あるかもしれません。さすがに、リカがしようとしていることを相談されていたら、口出しするし、止めるし、応援はしないですけど(笑)

ハーバリウムのデザインは無限!

ハーバリウムは水分が厳禁なので、プリザーブドフラワーやドライフラワーを使いますから、花の季節感に限定されず、自由にデザインを提案することが出来ます。例えばアジサイは5月から6月の花ですが、12月のクリスマスを表現するのに使ったりもできます。これは生花との大きな違いです。

ハーバリウムは大人から子供まであらゆる人たちが、様々なデザインを作ることが出来ます。以前、新聞にLOABELを大々的に扱って頂いたとき、多分80歳は過ぎていたご年配のおじいちゃんが電話を掛けてきてくれました。「これキレイだね。僕も習えるのかな?」って聞いてくるので、もちろん習えますと答えたら、遠くの方から道に迷いながらお越し下さったんです。そのおじいちゃんも、素敵なハーバリウムを完成させました。小さいお子さんもたくさん教室に来られます。男の子、女の子どちらも、喜んで夢中で作ってくれるのが嬉しいですね。何にも囚われない子ども達は、自由で、とっても素敵なデザインを作ります。大人ではとても作れないデザインだったりするので、勉強になります。なにより、子供たちにとっても、お花がとても身近になることが、嬉しいですね。

これから目指していることはありますか?
ここ数年、ハーバリウムは物凄いスピードで広まりました。沢山の人たちが様々な場所でハーバリウムに接していますから、ここでその人たちに「ハーバリウムってこんなもんか」と見放されることのないように、その奥深さ、クオリティの大切さをしっかり伝えていきたいですね。ともすれば、「オイルとかに花入れればできるんでしょ」などと思われてしまいかねないですし、そういったクオリティが分からず仕入れたりしてしまうお店などもあるのが事実で、街で見かけたハーバリウムが残念だった…などという話もよく耳にします。私は、植物標本を超えたインテリアとしてのハーバリウムの魅力や奥深さを、本物のハーバリウムを、より普及させるよう努力したいと思っています。
今後、日本中のハーバリウムの品質が、さらに上がっていったら嬉しいですね。
「リカ」について
最初お話を頂いたとき、内容が内容ですので、イメージのことは気になりました。一瞬どうしようかと悩みましたが、画面を通じてハーバリウムの綺麗さが伝わってほしいと思ったことと、なにより、スタッフのかたたちが私の作品を気に入ってくださったことが素直に嬉しくて、お引き受けしました。
担当スタッフとは最初メールや電話でやり取りしていたのですが、そのうちに「私レッスンに行きます!」とおっしゃられて、お忙しい中レッスンに来て下さったんです。制作チームの「リカ」という作品への熱い思い入れの強さには感動しました。正直タイトなスケジュールで、これまで作ったことの無いようなハーバリウムをデザインするのはかなりの難題でしたが、制作チームの熱さが伝わっていたので、私も頑張りました。夜な夜な一緒に頭を抱えてハーバリウムを作った日々。作り上げた出来立てのバラのハーバリウムを大切に抱えて、直ぐに現場に直行していた担当スタッフの姿は忘れられない思い出です(笑)
「リカ」という番組は、最初は単純にリカが怖いと思い、恐怖を感じました。でも、作品に携わっていく中で、リカの純粋な部分が見えてしまう自分がいました。誰にも負けない芯の強い純粋さというか。実は、その純粋さをイメージして、ハーバリウムに落とし込みました。
「リカ」ファンの皆さんに一言
リカは怖いですが、ぜひ皆様も、リカに潜む純粋な部分を感じて頂きたいと思います。もちろんただただ怖いんですけど、なんていうんでしょう、これは私の想像になりますが、少女のような純粋な部分では、単純に綺麗なものが好きだったり、お花に癒しを求めているのかもしれないし…そんな目線でハーバリウムを見ていただくと、単に置かれている飾りではなく、これまでとは違うものが見え方になるかもしれません。
そして、作品の裏にある、スタッフの皆さんの熱い思いも感じ取っていただければと思います。出来立てほやほやのバラのハーバリウムを抱えて現場へ直行したスタッフのエピソードを知った上で再度リカを見ていただく、なんていうのもオススメです(笑)

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