本作の撮影が始まったのは3月上旬のこと。ヒロインの瑠美(新川優愛さん)たちが看護師を目指し、懸命にさわやかに頑張る姿から撮影は始まりました――とお伝えしたいところですが、最初に撮影されたのは、異性のことで何かと問題を起こす藤香(さとうほなみさん)が同級生たちにつるし上げに遭う、というまさかのドロドロ場面でした(笑)。さらに藤香をかばった典子(酒井美紀さん)に対しても、クラスメートたちはとんでもないことを言って…、という展開。
そんなやりとりを冷めた目で見ている瑠美と、やや興奮気味の千夏(伊藤沙莉さん)。身長差のある新川さんと伊藤さんのアンバランスな感じが印象的で、キャラクター的にも真逆な瑠美と千夏がどんなコンビになるのか楽しみになりました。

女子たちのえげつない発言に千夏が顔をしかめる場面を撮ったときのこと。伊藤さんは表情が本当に豊かで、リハーサルからさまざまなしかめっ面を披露。現場で好評だったのが、鼻を動かして、不快感を表すというもの。これにはプロデューサーも「鼻で感情を表現するなんて!」と感心しきりでした。
新川さんとさとうさんは、それぞれが演じる役が登場したところで、どこか人を寄せ付けない雰囲気があります。とはいえ、性格はそれぞれ。キャラクターにどう違いを出すか、監督とディスカッションを重ね、役作りをしていました。
実習の場面では、さっそくベッドメーキングをする様子が撮影されました。きれいかつ清潔感のあるよう、手早くシーツをベッドに織り込んでいかなくてはいけません。指導される方は慣れているだけに、パパッと完成させますが、見るのとやるのでは大違い。新川さんも頭では理解しているものの、思ったように手が動かない様子。こうなると練習あるのみ。「分かった!」「あ、こういうことか」「あれ?」…。限られた時間の中で何度もベッドメーキングに挑戦していました。千夏は不器用、との設定なので伊藤さんはそこまで正確な作業は求められません。とは言え、実際やってみると分かりますが、何かをわざと下手にやる、というのは案外難しいもの。どうすれば“へたっぴ”に見えるか、伊藤さんも何度か練習してからの本番となりました。

瑠美たちの担任、波多野を演じる宍戸美和公さんは思いのほか、穏やかなセリフ回し。教える立場だけに、ときに厳しいことを言うものの声はとがっておらず、宍戸さんの演技からは生徒を一人前にする責任感が伝わってくるようでした。一方で波多野は同年代の主婦、典子が子育てに追われながら看護師を目指していることに複雑な感情を抱いている人物。典子と波多野のやりとりにはどこか緊張感があり、酒井さんと宍戸さんはうちに秘めた感情を、一見なんことない会話の中で演じていたのでした。
本編の撮影の合間、新川さん、伊藤さん、酒井さん、さとうさんに加え、看護学校の校長、番匠を演じる加藤雅也さんがポスターの撮影をすることに。皆さん、役とリンクさせるような表情を作っては、カメラマンがベストショットを押さえるべく、シャッターを切っていきます。印象的だったのは、加藤さんの撮影。デビュー当時、モデルとしても活躍してきた方だけに、カメラの前に立つと独特のオーラが漂います。その手には、他のメンバーとは違う黒い羽根。ポスターのコンセプトを聞き、加藤さんも番匠の思いを伝えるべく、さまざまな表情を見せたのでした。
瑠美を取り巻く男性陣のクランクインでは、研修医の拓海を演じる清原翔さんの佇まいが何ともさわやか。セリフ回しだけでなく、行動の一つひとつも軽やか。本作は瑠美ら看護学生の青春物語でもあるだけに、医者としての理想に燃える拓海のまっすぐさが、ドラマに清風を運んでくれることでしょう。

千夏の幼なじみ・瞬也役の瀬戸利樹さんと瞬也の友人・正弘を演じる深澤嵐さんは、合コン場面から撮影に入りました。瑠美や千夏の女性的な面や、彼女たちの日常を表現する上で、瞬也や正弘は欠かせない存在。撮影の空き時間、瀬戸さんは瞬也をどう演じればいいのか、市野プロデューサーと熱心に話す姿も見られました。一方、深澤さんと伊藤さんは子役時代に共演したことがあるとか。20代となり、またこうして同じ現場にいられることが感慨深げでした。
撮影が始まってから2週間ほど。瑠美の両親を演じる榊原郁恵さんと春田純一さん、さらに千夏の父親を演じる柳沢慎吾さんが現場に参加を。瑠美の母親・智子は娘に大学受験を諦め、看護師になることに専念するよう勧める人物。榊原さんが演じるからでしょうか。セリフに刺々しさがなく、瑠美との会話もシビアなだけにはなりません。スタッフさんの準備中には、春田さんを交え、瑠美たちの住んでいるマンションの外観がどんなものか確認したり、ロケの様子を質問したり。こういう時間が“家族感”を作るのに、一役買うのでしょうね。
柳沢さんはとにかくパワフル(笑)。現場ではあらゆるジャンルの話題を話し、新川さんや伊藤さんも柳沢さんの言うことに大笑い。瀬戸さんや深澤さんも撮影が終わり、帰り際、柳沢さんに「こんなに楽しい現場は初めてです。ありがとうございました」と挨拶するほど。柳沢さんは若いスタッフさんにも、長年の知り合いのように気軽に話しかけ、この日、まだ撮影が残る新川さんと伊藤さんにも「無理せず頑張ってね」と気遣いを。さらに「いや~、今日もよく話した」と言いつつ、現場をあとに。最後の最後まで皆さんを笑わせていた柳沢さんでした。
シリアスあり、奮闘あり、笑いもありとさまざまなシーンの中で瑠美たち看護学生のたちの成長が綴られる「いつまでも白い羽根」。どんな物語を織りなしていくのか、ご期待ください!