Specialスペシャル
Interview榊原郁恵さん
- 主人公・瑠美(新川優愛さん)の母・智子を演じている榊原郁恵さん。作品の魅力や共演者の皆さんの印象、またご自身にとって特に心に残っているという、劇中の“ある台詞”にまつわるエピソードも伺いました。
- 智子の人物像について、どんなふうにとらえていらっしゃいましたか?
- 旦那さんと子供の健康を気遣い、主婦として日々の生活をきっちりやっていくことが、この人の人生だったんだろうなって。あんまり難しいことは考えず、世の中に対して批判的でもなく、前向きに当たり前のことを当たり前のようにやっていく。だからこそ、どんな時もペースを崩さないというか。劇中では旦那さんがうつ病で引きこもっている時期もありましたけど、本当にいつも元気で明るいお母さんという印象でした。なので、演じる上でもとにかく“普通のお母さん”というところを意識していました。特に木崎家のおうちの中のシーンは、どこの家庭にもあるような、ごくごく普通の日常を切り取った場面が多かったですしね。
- わが子を見守る母の立場としては、智子に共感する部分はありましたか?
- それはあったと思います。うちの息子もそうですけど、子供って、わりと早く親離れをするじゃないですか。でも親のほうは、子供がいくつになっても健康のことが心配だったり、子供の将来を不安に思ったりしてしまう。そして、そういう気持ちがすべて小言となって表に出てきて…(笑)。きっと“心配”が“小言”に変換されてしまうんでしょうね。
- 娘役の新川さん、智子の夫・信吾役の春田純一さんとの共演は、いかがでしたか?
- 旦那さん役の春田さんとは、以前『プラチナエイジ』という作品でご一緒させていただいて。その時に共演したメンバーとはとても息が合って、ドラマが終わった後もみんなでお食事をしたり、お付き合いが続いていたんです。今回の現場でも、合間にいろいろおしゃべりをして、とても楽しい時間を過ごさせていただきました。新川さんとは前にバラエティー番組でお会いしたことはあったんですが、ドラマで共演するのは初めて。今回母と娘という役どころで一緒に時間を過ごして、彼女はすごく周りが見えている子だなと思いました。主人公の瑠美は結構難しい役だと思うんですよ。瑠美は突っ張っているように見えて、実はものすごく繊細な人。ドラマの中では看護学生役として命に向き合っていて、家に帰れば、こんな能天気なお母さんの雰囲気に思いきりつぶされそうになる…(笑)。そういう状況の中でも、現場に立つ彼女はいつも冷静に周りの空気をちゃんと感じてくれていました。だから家族として違和感なく、この3人でいられたんだと思います。もし彼女が自分のお芝居にばっかり目がいっていたら、一方通行になっていたかもしれないけれど、しっかり受け止めてくれましたからね。おかげで私もすごく安心して演じることができましたし、若いのに本当に器の大きい人だなと思いました。
- 今までの撮影を振り返って、特に印象に残っているシーンを教えてください。
- 第5話の、瑠美と智子と信吾が3人で一緒に自転車に乗って帰るシーンですね。自転車をこぎながら、智子が「瑠美が子供の頃、よくこうして3人1列で自転車に乗ったわね。暗くなると、お母さんのライトが前を照らして、お父さんのライトが瑠美を照らす…」って言う台詞がありました。撮影が終わって家に帰ってからも、そのシーンのことがすごく自分の中に引っかかっていて、その台詞を家で復唱していたら、主人から「お前、それ、いい台詞だなぁ」って言われたんです。撮影中はそんなに意識していなかったんですけど、主人の言葉を聞いて、改めて確かにいい台詞だなと実感しました。この作品には、一見普通の台詞のようだけど、実は意味の深い言葉っていうのが他にもたくさん出てくるんですよね。でもその台詞を「とてもいい言葉です」って思いながら言っちゃうとダメなんです。いい台詞だからこそ、何気なく言った言葉が実は相手にすごく響いていた…みたいな感じにしないといけないので、演じる上ではそこがすごく難しいなと思いました。
- ドラマのタイトルにちなみ、ご自身の“白い”と思うところを教えてください。
- 自分のここが白いというよりは、心の持ち方として「白くありたい」と常に意識しているところはあるかもしれないですね。大人になると、もう心が何色だかわかんなくなっちゃって、ぬかみそ状態になっている時もありますけど…(笑)。だからこそ、余計に意識して、自分自身に白さを求める。そのためにはいろんな努力をして、時には自分自身も変化させていかなきゃいけないので、最終的に疲れてしまったりすると思うんです。でも、それで白くあろうとする精神力を持っていたい。そういう思いはあります。
- 最後に、視聴者の皆さんにメッセージをお願いします。
- この作品は、看護学校に通う瑠美の成長ぶりと共に、医療に関わる人たちの姿勢や思いみたいなものを改めて考えさせられるドラマになっていると思います。そこに、若い人やオトナの人、いろんな人たちの生活、生き様というものが少しずつ絡まりながら、とても含みのある内容になっているので、そういう部分を見ていただけたらうれしいです。ドラマはまもなく最終回を迎えます。でも扱っている題材は終わりのないものだから、余計心に何かを残していく作品になればいいなと思います。木崎家に関しては、最後まで皆さんの隣りにもあるような明るい家庭がそこにありますので(笑)、安心して見守ってください。