FIFAワールドカップで、日本は12月2日未明、強豪スペイン相手に2対1で歴史的な逆転勝利を収め、決勝トーナメント進出を決めました。この試合を複雑な想いで見ていたのは、夫が日本人、妻がスペイン人の家族です。

 まさに「ドーハの歓喜」。歴史的勝利で、日本が2年連続決勝トーナメント進出を決めました。

 名古屋・栄のスポーツバーでは、午前4時のキックオフを前に、予約した75人のサポーターが集まりました。

サポーター:
「全然眠くないです。この日のために用意してきたので」

「前回コスタリカ戦負けてしまって、非常に悔しくて食事は喉を通らなかったです。なにがなんでも勝ってほしいです」

「生きるか死ぬかの戦いなので、もう絶対勝つしかないです日本!」

 盛り上がりはピザ店でも。営業時間を延長し日本代表の応援をサポート。午前3時時点で50枚ほどの予約が入り、配達に追われていました。

ドミノ・ピザ上前津店の店長:
「熱々のピザを一緒に召し上がっていただいて、ぜひ楽しい時間を過ごしていただければなと思っております。頑張れ、日本!」

 一方、岐阜市。日本人の夫と結婚し岐阜に住んで25年になる、スペイン出身のサラ・グリアスさん(52)。

W杯スペインとの大一番…日本人夫VSスペイン人妻 家庭内でも負けられない戦い 息子2人はどちらを応援?

サラさん:
「絶対スペイン!勝つ、強いと思います」

 スペインを応援するサラさんですが、ご家族は…。

サラさん:
「大剛は私と一緒にスペイン(を応援)」

次男・大剛さん(16):
「(スペインが)勝つんじゃないですか?」

長男・彪吾さん(20):
「僕は日本を応援しています。レアル・ソシエダの久保選手がいるチームのユニホームを持っています。ちょうどここが僕たちの地元なので。大活躍の予感です」

 そして日本の応援団で、友人の家族も招いて一緒に観戦します。ちなみにサラさんの夫は、朝から仕事のため就寝中。

サラさんと大剛さん:
「バモス、エスパーニャ!」

彪吾さんと友人の家族:
「いくぞ、日本!」

 そして運命のキックオフ。開始早々の前半5分、長男・彪吾さんイチオシの久保選手が魅せます。鋭いドリブルで切り込みますが、得点には結びつきません。

 すると前半11分、モラタ選手のゴールでスペインが先制します。

サラさんと大剛さん:
「お~イエーイ!」

長男・彪吾さん:
「もう早い、オフサイド、オフサイド」

 日本は攻撃の糸口をつかめないまま、前半が終了。

次男・大剛さん:
「いい感じなんですけど、もう1点入れてもらえればもっと安心できるかなと」

長男・彪吾さん:
「ちょっとは日本の気持ちになんないの?普通に分かんないわ。今日本にいるやん」

 1点ビハインドで迎えた後半。開始早々の3分…。

長男・彪吾さん:
「OK、OK、ナイス、ナイスゴ~ル!よし!よく打った!」

 代わったばかりの堂安律選手が左足一閃。強烈なミドルシュートがスペインゴールに突き刺さり同点としました。

 攻勢に出た日本はさらにその3分後、後半から入った三苫薫選手の折り返しに田中碧選手が押し込み、逆転に成功。

サラさん:
「ここからスペイン強くなる、もっと」

長男・彪吾さん:
「スペインの方が強いのは分かってるから。笑顔はいいけど集中!」

 そして後半17分、三重県菰野町出身の浅野拓磨選手がピッチへ。

浅野選手の兄:将輝さん:
「バンバン攻め続けていただければ。今回もヒーローになっていただければと思います」

 出場直後から果敢にスペインゴールを攻めます。

 2対1と逆転に成功した日本ですが、ここでサラさんご一家に思わぬ知らせが入ります。

長男・彪吾さん:
「え?コスタリカ決めた!?やばいやばい、スペインやばい、スペイン頑張れ!」

 日本を応援していたのに、急にスペインを応援し始めた彪吾さん。同じ時間に始まっていたドイツとコスタリカの試合で、後半25分にコスタリカが逆転。このまま試合が終われば、スペインが決勝トーナメントに進めなくなります。

長男・彪吾さん:
「僕の第一目標である両国進出ができなくなるので、スペイン引き分けでいいんで、ちょっとやばいな…。ちょっとどうしたらいいか分かんない」

 ここからスマホで、ドイツとコスタリカの試合も観ながらの観戦に。

 彪吾さんの思いは、日本とスペインともに決勝トーナメントへ。しかし弟の大剛さんは、サッカー王国・スペインの意地、日本に負けることは許されません。

長男・彪吾さん:
「お前マジでどういうこと。どっちも出られればハッピーやん」

次男・大剛さん:
「ハッピーちゃうて、負けとるんやで。日本に負けたら悲劇どころやないで」

 そのまま試合は終了し、日本はスペインに歴史的な逆転勝利。2大会連続で決勝トーナメント進出を決めました。

サラさん:
「スペインと日本が(決勝Tに)いけたら、ちょっとハッピー」

 試合を見ていない父親にも、日本の勝利を報告。

長男・彪吾さん:
「パパ、日本勝ったよスペインに、2-1で。どっちも進出」

父・欣史さん:
「嘘やろ!?すげえな~」

長男・彪吾さん:
「どっちも(決勝Tに)行けたことが本当にうれしいです、よかったです。なんでこっち(サラさんと大剛さん)がテンション低いのか分かんないですけど。よかった〜」

 まさに「ドーハの歓喜」。歴史的勝利を飾った日本代表。

日本代表の森保監督:
「何よりもこうやって現地のサポーターの皆さんが応援してくれたこと、日本は朝早いですけど、日本からエールを送ってくださった皆さんの気持ちが伝わって勝てたと思います」

 次なる舞台は1発勝負の決勝トーナメント。6日午前0時に、前回大会準優勝のクロアチアと対戦します。