■「自動ブレーキ」に“注意”
車の運転中、障害物の直前で止まる自動ブレーキ。みなさんの車にもついていますか?
街の人に聞いてみると…。
70代の女性:
「自動ブレーキがついているのがいいなと思って買いました。安心感はありますね」
60代の女性:
「(以前に車が)絶対に止まらないと思ったのに止まったので、自動ブレーキのおかげですね」

実は、この自動ブレーキがついていても、事故が起きることもあるんです。
去年1年間で、国土交通省に自動ブレーキの不具合の情報が340件寄せられましたが、そのうち24%に当たる82件が交通事故に。「自動ブレーキ」があれば事故なんて…、と安心しきっていた人も多いのではないでしょうか。

この件については専門家も…。
名城大学理工学部・相馬仁教授:
「自動ブレーキ=車側で止めてくれる装置というのは完全な間違いです」

■カメラが「見えていない」ことが…
では一体どんな時に注意が必要なんでしょうか…。実は前方の障害物をとらえるはずのカメラが、「見えていない」こともあるんです。
国土交通省の実験映像を見てみると、街灯しかついていない夜の暗い状況では、スピードは30キロとそれほど出ているわけではありませんが、障害物を回避できませんでした。

そして、早朝や夕方、太陽が逆光になる時間帯も注意が必要です。カメラが障害物を検知し、自動ブレーキも作動しているのですが、光がカメラのある運転席を照らすと障害物を見失い、ブレーキが『解除』されてしまいました。

このほか、路面の状況によっても注意が必要です。
車検の際にテストするのと同じ傾斜の坂道での実験でも、障害物にぶつかってしまいました。道が平らでも坂でも、自動ブレーキのかかりかたは同じ。そのため、坂では止まりきるのにより長い距離が必要になってしまいます。
このように自動ブレーキが作動しても路面の状況によっては事故につながることもあるんです。
自動ブレーキの研究をしている名城大学の相馬仁教授は、次のように警鐘を鳴らしています。
名城大学理工学部・相馬仁教授:
「自動ブレーキがついていてもついていなくても、そういうものが無いと思って安全に運転することが必要で、そこにたまたま自動ブレーキがついていたら、ある時助けてくれるかもしれない、ついててよかった、そういうシステムだと思ってください。必ず車を乗る時は自動ブレーキがついているのであれば自動ブレーキのマニュアルを確認してどういうところに問題があるかをきちんと把握して運転することが必要です」
万が一を助けてくれるはずの自動ブレーキにも「万が一」が起こります、みなさんも頼りすぎずに安全運転を心掛けてください。
【実験映像はコチラ↓】
▼国土交通省自動車局審査・リコール課 YouTubeチャンネル
https://www.youtube.com/channel/UCwFJ6KstdbqM9P91828lu2g