30日、名古屋市中川区の寺で営まれた葬儀。パチンコ機器メーカー「高尾」の社長・内ヶ島正規さん(39)に、参列者は最後の別れを告げました。

内ヶ島さんの親族:
「犯人捕まってないから怖くて。(内ヶ島さんは)家族思いですごく子どもかわいがってくれて」

■元従業員の証言から見える数々のトラブル

「高尾」の社長の内ヶ島さん(39)が会社で殺害されているのが見つかった事件。事件の発覚から5日…。東海テレビは今年7月まで「高尾」に勤めていたという男性に話を聞くことができました。

元従業員:
「恨まれるというか、社長の考え方として世話になった人を平気で切り捨てるとか(話はあった)」

 元従業員の証言から見えてきたのは、内ヶ島さんの周辺で起きていた数々のトラブル。内ヶ島さんの身に一体何があったのでしょうか?

■24日夜から翌未明までに殺害か

 年商およそ200億円、業界12位の規模のパチンコ機器メーカー「高尾」。東京商工リサーチなどによりますと「高尾」は戦後間もない昭和25年に創業し従業員はおよそ220人。全国に13の支店と営業所を持ちギャンブルがテーマの漫画「賭博黙示録カイジ」を題材にしたパチンコ台の製造などで知られています。

 同族経営で、一昨年6月、37歳という若さで社長に就任したのが創業者の孫にあたる内ヶ島さんです。

 内ヶ島さんは遺体で見つかった前日、10月24日の夜、会社で仕事を終えた後、未明までの間に車庫付近で殺害されたとみられています。

(記者リポート)
「内ヶ島さんが倒れていた車庫と社屋に向かう通路には、大量の血痕が残されていました」

 捜査関係者によりますと、周囲の防犯カメラには、会社のフェンスを乗り越え敷地内を歩き回る不審な人物が映っていました。

 現場の痕跡などから、犯人は車庫付近で内ヶ島さんを殺害後東側のフェンスを乗り越えて北側へ、そして、別の会社のフェンスを乗り越え北東へ逃げた可能性があるとみられています。

 内ヶ島さんの死因は首を切られたことによる失血死。傷は頸動脈になどに達していて即死だったとみられ、犯人は強い殺意を持って内ヶ島さんを襲った可能性があります。なぜ、内ヶ島さんは襲われたのでしょうか…。

元従業員:
「(内ヶ島さんは)パチンコが好きで仕事をしている人。昼休みに時間があれば本社前のパチンコ屋でパチンコ打っている、パチンコしか考えていない」

 内ヶ島さんについてこう話すのは、今年7月まで「高尾」に勤めていた元従業員の男性。内ヶ島さんの周辺では事件前、複数のトラブルがあったといいます。

■トラブル1「パチンコ台の性能」

元従業員:
「出玉の性能がわれわれが説明した数値より少ない。当然お客さんからするとということなのでだまして売ったんじゃないかという話も」

「高尾」は今年「カイジ」を題材にした新たなパチンコ台を製造。しかし、玉の出方が設計と違ったことなどから、性能を巡り納入先のパチンコ店と補償問題に発展していたといいます。

元従業員:
「(パチンコ台の代金を)『うちも払わない』『うちも払わない』とどんどん事態が拡大していった」

 他にも…。

■トラブル2「フィリピンでの襲撃事件」

元従業員:
「乱闘してそれ(襲撃)にいたったわけではなくて、ちょっとした口論で終わっていて(後から)移動して狙われた」

 去年4月、内ヶ島さんはパチンコ関連事業の視察で、フィリピンの首都マニラを訪れた際、車で移動中にオートバイに乗った2人組の男に襲われました。

 同乗していた稲沢市のパチンコ部品会社の社長の男性(48)が射殺され、地元メディアは当局の話として「銃痕の位置から射殺された男性以外を狙って襲撃した可能性が高い」との見解を示していました。

 実際は内ヶ島さんが狙われていたのでしょうか。さらに…。

■トラブル3「従業員の退職」

元従業員:
「部品屋からバックマージンを受け取ってそれが発覚してね、処分されたんです」

「高尾」では以前、男性幹部2人が取引先のパチンコ部品メーカーと契約する見返りに現金を受け取っていたことが発覚。その後、2人は退職…。他にも様々な理由で最近、多くの従業員が会社を去ったといいます。

元従業員:
「(私が)退職処理したまでの間にも、200人くらいの会社だが不思議なことに10人くらい退職した。半年で5%くらいの人が離職していくってない。パチンコメーカーの社長が狙われて殺されるというのは業務上の問題で(殺されたのなら)あってはならんと思います」

 他にも遺産相続の問題や、自宅が窃盗被害に遭うなど内ヶ島さんの周辺で起きていた数々のトラブル…。警察もこうした状況を把握していて、今回の事件と関係がないか慎重に捜査を進めています。