毎年恒例の「ゆるきゃらグランプリ」。中間集計で暫定1位となった三重・四日市市の「こにゅうどうくん」に、市役所ぐるみで大量の組織票が投票されていたことがわかりました。
べ~っと伸びる長い舌で人気の、四日市市のゆるキャラ「こにゅうどうくん」。地元の祭りに登場する首が伸び縮みする妖怪「大入道」を元にしたキャラクターです。
森智広四日市市長:
「こにゅうどうくんピンチです。助けてください!ありがとうございます!」
去年のゆるキャラグランプリでも、四日市市長自ら駅前で応援演説するなど、市をあげて応援支持を訴えてきました。
森智広四日市市長:
「頑張ってきたのでグランプリベスト3を目指したい」
しかし結果は惜しくも4位と、目標だったベスト3入りは叶いませんでした。
あれから一年…。
(杉山キャスターリポート)
「ありました!市内にはこにゅうどうくんのポスターがたくさん貼ってあります」
今も市をあげて売り出し中のこにゅうどうくん。今年も念願のベスト3入りを目指し、ゆるキャラグランプリへエントリーしています。

11月1日時点の暫定順位では100万票以上を獲得し、見事1位に。ところが、この1位を巡って『不正大量投票疑惑』が…。
ゆるキャラグランプリ実行委員会・西秀一郎会長:
「一人一日一票投票できます。その人を特定するためにID登録してもらう。1つのメールアドレスで1つのIDがとれます」

ゆるキャラグランプリでは1つのメールアドレスでIDを作成。そのIDごとに1日1票投票できる仕組みです。しかし、1人で複数のアドレスを作った場合、複数の投票をすることができてしまいます。
この仕組みを利用し、四日市市役所が組織的に、こにゅうどうくんへ大量の票を入れたと指摘されています。

ゆるキャラグランプリ実行委員会・西秀一郎会長:
「一人で4つのIDを持って、それぞれ毎日投票するのをダメとは言っていない。機械的に投票すると同じ時間で100も200も入ってくるのでシステムでもサーバーでも感知してしまう。新しくゆるきゃらGPに参加しようとする方々の参加意欲を損なってしまう」
この疑惑について市の担当者は…。
四日市市シティープロモーション部・渡辺敏明部長:
(Q.投票しなさいという命令は?)
「それはございません。呼び掛けはございます。投票の方法が大きく逸脱しているとは考えておりません。企業の方に応援していただくようお願いに回っています。その結果としてそれぞれの地域で盛り上げようとやっているわけですからそれを否定するものではないと思います」

四日市市役所では投票への協力を呼びかけ、職員や支援してくれる企業などに、およそ2万個のフリーメールのアドレスを配布。このアドレスを利用した投票を呼びかけたことは認めたものの、ルール違反ではないため問題はないとの認識を示しました。
この「ゆるくない」大量組織票について、四日市市民は…。
四日市市民:
「一位になってほしい」
別の市民:
「投票は自由だから。どこの自治体でも多少そういう傾向あるんじゃない?」
市民の中ではこにゅうどうくんを推す声も多く、優勝するために組織票についてはある程度仕方ないという意見も。一方で…。
四日市の店:
「こにゅうどうくん自体が可愛いじゃないですか。こにゅうどうくんあられも作ったんですよ」

こにゅうどうくんとコラボレーションしたオリジナルのあられを作ったというこちらのお店。こうした問題で、本来罪のないこにゅうどうくんのイメージが悪化しないか心配だと話します。
四日市市民:
「残念というよりは、もし1位になってもケチがつくような気がしなくもない」
ゆるキャラグランプリ実行委員会・西秀一郎会長:
「ゆるきゃらグランプリはあくまでも、地域活性の一つの手段。グランプリを取ることを目的にしてはいけないと思います。地方創生、地域活性は喫緊の問題だと思っていますので、こういう“ゆるくない”話で語りたくない」
初代グランプリに輝いた「くまモン」は優勝後の2年間で、1244億円の経済効果があった(日銀試算)とされる「ゆるきゃらGP」。かわいい、おもしろい、といった無邪気なフィーバーだけではなかったようです。