全国から900体余りが参戦した今年の「ゆるキャラグランプリ」。18日に行われた決勝で、四日市市の「こにゅうどうくん」は3位入賞と健闘しました。

 しかし、ここまでは波乱づくしの大会でした。

 べ~っと伸びる長い舌で人気の「こにゅうどうくん」。去年のゆるキャラグランプリでは、4位に入り、今年は優勝を目標に市をあげて売り出してきました。その甲斐もあり事前のインターネット投票では、118万9262票と、2位におよそ10万票の差をつけて暫定トップに。

 ところがこの1位を巡り、問題が浮上しました…。

 四日市市役所が、ネット投票に必要なメールアドレス2万個を作成し、大量の票を組織的に入れていたことが発覚。物議を醸しました。

森智広四日市市長:
「市の公式キャラクターを市役所が応援するのは当たり前だと思っていますし、全ての票において自らが「こにゅうどうくん」を応援したいという思いで積みあがった得票は、一切、組織票は入ってないと私は思っています」

 ゆるキャラを巡るこの「ゆるくない騒動」について、エントリーした他のゆるキャラにも、聞いてみると…?

埼玉県志木市のカバルくん:
「うちには(組織票が)ないからうらやましくも…」

 一連の報道を受けて、決勝の会場でも人気者になったこにゅうどうくん、表彰式前日、有権者たちにいいところを見せようとダンスを披露しましたが、突然、しゃがみ込んでしまいました。なんと、足を肉離れ…。

 それでも杖をついて歩きながら、最後の最後まで投票をアピールしました。さらに会場には、地元・四日市から心強い応援団も。

応援団:
「何番でもいいですよ、これだけ盛り上げてくれたら。(票は)愛ですよ」

 そして、迎えた表彰式…。ここで波乱が。事前のネット投票でおよそ118万票を獲得しているこにゅうどうくんでしたが…

司会の女性:
「3位は、インターネット投票数80万5207票、決選投票得票数2385票、合計80万7592票で、三重県四日市市のこにゅうどうくん」

応援団の女性:
「悔しかったですけど…すごくがんばっているのを見ていたので」

応援団の男性:
「(中間発表で)100万票を超えていたのに、というのはありますけど。事情がわからないですけど」

 こにゅうどうくんをはじめ、上位3つのキャラクターが、事前の得票数から2割から4割もカットされていたのです。

実行委員会・西秀一郎会長:
「客観的に見て、おかしいなというIDを削除させていただいた結果がこの結果。怪しい捨てアカウントにメールを送り、実在していますか?の問いかけに対して、返事がなかったものだけを削除しました」

 実行委員会によるとネット投票のうち、個人の実体がないIDから投票されたものは「無効」と判断。その結果、事前に「こにゅうどうくん」に投じられたネット投票のうち、少なくとも38万票以上が無効になりました。

 結局、1位に輝いたのは「組織票がほとんどない」という埼玉県の志木市文化スポーツ振興公社のキャラクター「カパル」でした。

 目標の優勝には届かず3位に終わったこにゅうどうくん、一夜明けて、四日市市の森市長は…。

森四日市市長:
「街の将来を見据えて、今回取り組みを進めてきたわけです。ですから、その取り組みをそういった組織票という表現をされたのは、本当に悲しい思いです。昨年の4位に比べると順位もあがったわけですし、3位入賞を果たすことができたので私はよかったかなと思っています」

 ゆるきゃらグランプリは転換期を迎えています。7年前にスタートし、エントリーするキャラクターも増えていきましたが、2015年をピークに減少し、去年は約1000、ことしも約900と、年々減少。投票数自体も3年前の5000万票から大きく減らしています。

 専門家は、「得票数=ゆるキャラの価値ではない。ゆるキャラに頼るしかないと思われないよう街の魅力をもう一度考えるきっかけにすべき」と話しています。

<ゆるきゃらグランプリ2018の結果>
1位 カパル (埼玉・志木市文化スポーツ振興公社)88万9262票 
2位 ジャー坊 (福岡・大牟田市) 84万3632票
3位 こにゅうどうくん (三重・四日市市) 80万8793票
4位 一生犬鳴!イヌナキン! (大阪・泉佐野市) 60万9638票
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6位 おぶちゃん (愛知・大府市) 9万1687票
9位 ばら菜 (岐阜・神戸町) 7万1341票