「84万本」。これは、名古屋市の小学校の給食で昨年度出された牛乳のうち、飲み残された本数です。

 金額にしておよそ4300万円分にもなるという牛乳の飲み残し。これを減らそうと、「切り札」の導入が検討されることになりました。

 名古屋市中川区の野田小学校。先日、給食の時間、1年1組の教室にお邪魔しました。

 この日の献立は、具材を自分で挟むロールパンのサンドイッチにポテトスープ、飲むヨーグルト、それに牛乳です。

 学校給食法の施行規則に給食は「パン又は米飯、ミルク及びおかず」と定められていることから、牛乳は、毎日出されることになっています。もちろん牛乳大好き!という子もいますが、中にはこんな子も…。

女の子:
「あんまり飲まない」

別の女の子:
「ちょっときらい」

男の子:
「(ごはんの日は)イヤだ、なんかマズそう…」

 取材にお邪魔した日は、牛乳が嫌いだという子も頑張ってクラス全員、牛乳を飲み切りましたが、全ての学校の全員が牛乳を飲み切れるわけではありません。

 名古屋市教育委員会の調査では、市内の小学校で飲まれず廃棄される牛乳は昨年度だけでおよそ84万本。金額にしておよそ4300万円分が捨てられているのです。

 そこで、名古屋市議会で出たアイデアが…。

浅井正仁名古屋市議:
「牛乳が苦手な子でも、コーヒー牛乳やフルーツ牛乳なら飲める子もいる。『牛乳用調味料』の導入ができないか」

杉崎正美教育長:
「子どもたちの牛乳離れ解消のため具体的に検討してまいりたい」

 牛乳用調味料を導入する方針が示されました。牛乳用調味料といえば、その代表格は「ミルメーク」。牛乳に粉末を入れ、よく混ぜると、味が甘いコーヒー牛乳になるという優れもの。

 風味のラインナップもいちごやメロンなど豊富で、東海3県の多くの市町村の給食に導入されています。

 実はこのミルメーク、地元、名古屋市守山区で生産されているのですが、名古屋市はこれまで取り入れて来ませんでした。

名古屋市教育委員会の担当者:
「地元でとれた牛乳、地元の食材を本来の味で味わっていただけたらと考えておりまして、これまで導入されてこなかった。牛乳の飲み残しについては何か検討しなくてはということで、牛乳用調味料の検討をしようということになりました」

 大きな方針転換に、ミルメークのメーカーは…?

大島食品工業・原谷昭久さん:
「名古屋市で創業した会社ですのでちょっとだけ寂しい思いをしておりました。社員一同みんなで本当に喜んでおります。ありがとうございます」

 ミルメークで牛乳の飲み残しをどれだけ減らせるのか、その効果ははっきりとは見通せないものの、8年前に導入した石川県志賀町では、残しが半減したというデータもあります。

 街で「子どもの頃ミルメークを飲んだ」という人に話を聞くと…。

男性:
「学校で出たことあります。取り合いになるくらい人気でした」

別の男性:
「(ミルメーク)好きでした。(Q.牛乳嫌いな子でも飲んでいましたか?)飲めてましたね、みんな飲んでいた気がする」

 名古屋市の小学校で、1年に84万本、4300万円分が捨てられている給食の牛乳。もったいない現状を改める取り組みは、来年秋から始まります。