名古屋の手羽先店「世界の山ちゃん」が、飲茶専門の新業態「世界のやむちゃん」を19日オープンします。亡き夫から事業を受け継いだ女性代表。今、新たな業態に進出する理由や戦略を探りました。

 帽子をかぶり、右手に点心を持った「世界の山ちゃん」お馴染みのキャラクター。いつもとは少し違って中華風な格好をしています…。

 それもそのはず、19日、名古屋・栄にオープンするのが「世界の山ちゃん」の飲茶専門の新業態、その名も「世界のやむちゃん」です。

「山ちゃん」といえば、ピリッと辛い特製の胡椒が効いた「幻の手羽先」が代名詞ですが…「やむちゃん」では手羽先の販売は無し!肉汁たっぷりの薄皮小籠包や餃子、さらにタピオカミルクティーや台湾風パフェなど、豊富なデザート類も含めおよそ100種類のメニューを展開します。

 座席数は個室も含め90席。赤提灯が灯る異国情緒漂う雰囲気で、まるで台湾の路地裏に入り込んだような感覚で食事を楽しむことができます。

 一見、メニューも店内も「世界の山ちゃん」とは全く異なったお店に感じますが、どうして今回出店することになったのでしょうか…。

■新業態出店は「女性客の獲得」と「新代表の思い」

「世界の山ちゃん」は1981年、名古屋・新栄に前身となる1号店が誕生。創業者の山本重雄会長は店のシンボルに自分の似顔絵をデザインするなど個性的な人柄でしたが、2年前、突然の病でこの世を去りました。

 その後を継いだのが、今の代表で重雄さんの妻・久美さんでした。

 久美さんは代表就任当時の2016年のインタビューで…

代表の山本久美さん(2016年取材時):
「会長になかったものを作っていきたいとは思います。女性ならではの色を出したり、伝統を守りつつ変化ができればいいなと思っています」

 女性目線で新たな顧客を獲得したいという久美さんの思いと重なり、今回の出店が決まりました。

 飲茶の専門店を選んだことについては…?

久美さん:
「名古屋に点心のお店がすごく少ないと思うんですね。リーズナブルで、ちょっとおしゃれなお店というのがないなと思いまして、ぜひ名古屋にザ・中華ではなく、気軽に入れるような店があったらいいなと」

■手羽先のDNAを受け継いだ「幻の名古屋餃子」

 そんな「やむちゃん」のこだわりポイント、1つ目が「山ちゃん」手羽先のDNAを受け継いだ「幻の名古屋餃子」。

 こんがり焼けた美味しそうな餃子。よ~く見ると餃子の下に何か粉が敷かれています。

(記者リポート)
「口に入れると、あの『世界の山ちゃん』の手羽先のあのピリッとした胡椒の味が広がります」

 何と下に敷いてあるのは「山ちゃん」の手羽先でお馴染み、スパイシーな胡椒!

久美さん:
「世界の山ちゃんを受け継ぐスパイシーな胡椒というのを使って、何かができないかというのを考えてこの餃子が生まれました」

 新業態ながらもしっかりと「山ちゃん」のDNAは受け継がれているようです。

■インスタ映えも…女性目線の「ちょい食べ点心」 

 今回のメインターゲットは、今まで世界の山ちゃんにあまり来店しなかった「女性」。

 量は食べられないけど色々な種類のモノが食べたいという女性目線に立ち、小籠包などの点心は一個ずつ注文するスタイルに。30種類以上の中から好きなものを少しずつ食べることができます。

 カラフルな升やお皿に1つずつのった点心はインスタ映えすること間違いなしです。

久美さん:
「(店舗を)一気に増やすつもりはないですけれども、足固めしながら少しずつ広げていければいいかなと思っています」

 名古屋の名物企業の新たな挑戦。伝統を活かしつつ、新たな顧客獲得を目指します。

■「世界の山ちゃん」これまでにチャレンジした“別業態”のいま

「世界の山ちゃん」はこれまでにも 手羽先だけでなく寿司も提供する居酒屋や、幻の手羽先の胡椒を使ったピザを提供するカフェ、そして、「おてんBAR」というガールズバーなども出店。

 しかし、居酒屋は2001年に、カフェは2017年8月、ガールズバーは3か月で閉店しています。

 現在もラーメン店や刺身やウナギをウリにする居酒屋なども展開、手羽先に絞るのではなく、新しい顧客、客層の取り込みを狙っています。

「世界のやむちゃん」が今後浸透していくのか、注目が集まります。