■「大掃除は面倒…」という方、“トヨタ式”の片づけはいかが?
年末に「大掃除しなきゃ」と思っていたら年が明けてしまった…という経験をされた方、いらっしゃるのではないでしょうか。やらなきゃいけないとわかっていても、やっぱり“面倒”。
どうしたらスムーズに片づけができるのか、トヨタグループでの勤務経験を生かして片づけ術を編み出した女性がいます。そのトヨタ式の片づけ方法とは…?
2017年、出版された「トヨタ式おうち片づけ」、1年で2万部が売れ、重版もされた人気の本です。著者は愛知県岡崎市の主婦・香村薫さん。夫と子供3人、5人家族の香村さんの部屋はいったいどれほどきれいなんでしょうか。
自宅を訪れると、リビングはとてもすっきり!パッと見ただけでもわかるのは、とにかくモノが少ないということです。とても小さな子供が3人いる家庭とは思えません。まるでモデルルームのよう…。
大学卒業後、トヨタグループのアイシンAWに入社した香村さん。職場では在庫管理が徹底されていて、その経験を家の片づけにいかせばスムーズにいくのではないかと思い、トヨタ式片づけ術を考案したといいます。

■“一目瞭然”で暮らしやすく
トヨタ式片づけ術のポイントそれは『見える化』。
香村さんは「トヨタグループの『見える化』は、パッと見て全体量を一瞬で把握できるということ」と話し、そうすることによってモノの「ほどよい量」を決めることができるといいます。
クローゼットの中を見せてもらうと、服の数が少なくすっきり。それでも香村さん夫婦のほぼ1年間の服だそうで、ハンガーにかかっているのは、その週に着る洋服。ポイントはハンガーの間隔を3センチくらい開けることで、それによって“クローゼットにかけられる服”の数が決まり、無駄な服を減らすことができるといいます。
『見える化』の技は、洗面所にも。引き出しの中にタオルが“立てて”収納してありました。これでいま何枚あるかが一目瞭然です!
そして、洗面所にはたくさんの引き出しがあり、名前も貼ってあります。
香村さん:
「子どもでも自分で取り出して収納できるようになっています」
どこに、誰の、何があるのかすぐにわかるようにラベリング、これも『見える化』です。

■「物を探すストレスが減る」
2つ目のポイントはモノを減らしてスペースを広げる「ムダとり」。
香村さん:
「ムダとりというのは、モノを減らしてスペースを広げることなんですね」
キッチンの引き出しにしまうナイフやフォークなどの収納。香村さん宅は5人家族ですがとても少ない量です。スプーンやフォークなどは、普段使いと来客用に分けたうえで、来客用は出しにくい場所に収納してありました。
そうすることで空間にゆとりができ、子どもたちも自分でお皿を取り出すようになり、しつけにも繋がったそうです。
トヨタ式片づけが隅々まで行き届いた生活、夫の圭司さんは「物を探すストレスが減る」と満足しています。
香村さんの夫・圭司さん:
「物がある場所が明確なので、探しに行く時に時間をとらないというところが、一番ストレスがなくなるところかなと思います」

■半年待ちの「出張片づけ」サービス
片づけの出張サービスも行っている香村さん。人気で“半年待ち”というそのサービスに同行させてもらいました。
今回の依頼主は、キッチンの収納が悩みという愛知県知立市の山口さん。食料品の引き出しを開けてみると、モノが多すぎて収納グッズの上にまであふれていて、引き出し以外にもあちこちに食品が埋もれていました。
吊戸棚の中からは麺類やお茶、コンロの下からは、なんと食パンまで…。
なかなか手ごわそうなキッチン、トヨタ式でどう片付けるのでしょうか。
香村さん:
「物が多いところは、食品と調理機器と食器の3つに分けて、最初に食品から(片づけ)を始めるのがおすすめです」
はじめにキッチンの食料品を全部出してズラっと並べました。
香村さん:
「これがトヨタ式の見える化と同じで、実際に分けたものを俯瞰してみるといろいろ見えてくるんです」
山口さん:
「同じものが何個もありますね(笑)」
確かに、ジャムやコーヒーなど同じモノが見つかり、見える化することで、こうしたミスも防げます。
引き出しは背の高いファイルボックスを入れることで、上にモノが積めないように工夫します。
これで、あちこちに散らばっていた食品が3つの引き出しに集約されました。

■必要なモノを必要なだけ
続いては食器。香村さんが食器棚からグラスを出し、並べて数え始めました。これも「見える化」だそうですが…。
香村さん:
「グラスが28個あります。大体グラスは1人2個と考えてもらうと、4人家族なので8個です」
並べて数えることで程よい数を決めるのが「見える化」のメリット。山口さんは来客の分も加え、16個を残すことにしました。
同様に、マグカップと湯呑も32個から16個に減らし、食器類が全て棚の中に。こうしてモノがあふれていたキッチンがすっきりしました。
山口さん:
「(今までは)一つのものを出すのに、無駄な動きがあったので、とにかく無駄な動きが無くなりそうな気がします」

■トヨタ式・カイゼンで『片づけ×忘れ物防止』
香村さんはほかにも、トヨタグループで学んだ「カイゼン」を片づけに活用。
例えば玄関にある靴の棚に入っているのは、靴だけではありません。手袋や、マスク、子供の防寒着など、外出時に忘れがちなものを収納し、過去の忘れ物をカイゼンしています。
また、せっかく片づけても続かない“リバウンド”してしまうという人に香村さんが勧めるのは、「毎日写真を撮る」こと。きれいな状態の写真を撮っていると2週間ほどでリバウンドしなくなるそうです。