■“宝石”のようなモーニングに全国からファンが来店

 昔ながらのレトロな喫茶店『純喫茶』。実は今、年配のお客さんだけでなく10代、20代の若者たちにも人気です。雑誌や書籍では「レトロ純喫茶」の特集が組まれています。

 純喫茶の人気のワケを調べるため、まずやって来たのは名駅からほど近い、柳橋中央市場付近。

 大通りから少し中に入った隠れ家的なお店、創業46年の「かこ 花車本店」です。

■純喫茶の王道“ヨーロピアン・アンティーク”の店内

 店の人気の秘密は、ご主人の土屋賞蔵さんがふるまうモーニング。そのモーニングを味わおうと、店には連日のように行列、店内は女性客でにぎわいます。

Q.どちらから来ましたか?

2人組の女性:「富山県です」

別の女性2人組:「大阪と奈良です」

 全国からファンを魅了しているのが究極!まるで宝石のようなモーニングです。その名も「シャンティールージュ スペシャル」。

 4つに分かれたバタートーストに、つぶあん、生クリームに土屋さん手づくりの4種のジャムがトッピング。

 この日のジャムは、46年間作り続けている「オレンジマーマレード」のほかに、「キウイ白ワイン」、「フランボワーズバナナ」、「柿とバニラ」、モーニング中はドリンク代にプラス350円でいただけます。

■カレー580円 オムライス630円…30年値段そのままの店

 名古屋市中区大須にある、創業60年以上の老舗純喫茶『パイカル』。店内は、昔ながらの照明やテーブルなど、まるで昭和にタイムスリップしたような雰囲気です。

 魅力は昔ながらの喫茶店メニュー。カレーライス580円、オムライス630円、焼きそばも580円、価格は30年前からずっと据え置き、お値打ちなんです。

 ちなみに店の一番の人気メニューは「鉄板イタリアンスパゲッティ」!サラダ付き630円です。鉄板にひかれた半熟玉子がたまりません。

 仕込みは毎朝6時から。パスタはかためにゆで、サラダオイルをなじませて舌触りをよくしているそうです。

 値段は安くても手を抜かないというのがお店のモットー。とにかく手作りにこだわり、店主の横井あけみさんが値段をあげないために、安くて良いものをいくつもの店を回って手に入れ、自分で選んだ野菜だけを使っています。

■「煙が出ていますが、火事ではありません」

 中区栄のど真ん中、看板には「コーヒーだけの店」と掲げる「珈琲だけの店 びぎん」。

 客席はカウンターのみの隠れ家的な純喫茶。創業は昭和26年で、コーヒー専門店とあって、店主こだわりのコーヒーを求める常連客で賑わいます。

 店主は3代目の加藤壮風さん、コーヒーの面白さは焙煎だと話します。

珈琲だけの店 びぎん店主・加藤壮風さん:
「焙煎でコーヒーの味をコントロールするのが面白いですね。味は焙煎で変わります」

 毎朝6時半に豆を焙煎。焙煎時にはたくさんの煙が出ることから、店の前に「珈琲焙煎中 煙が出ていますが、火事ではありません」と看板を出す気遣い。

 煙の加減を見ながら色味の出方で焼き上がりのタイミングを見極め、褐色の豆を一気に取り出すしたあと割れた豆や焼き過ぎた豆を一粒一粒丁寧に取り除きます、雑味が出ないようにするためです。

 看板商品は『レギュラーブレンド』。ブラジル産やコロンビア産の4種類を独自にブレンド。ほろ苦さの中に深いコクと甘みがあるのが特徴です。

 注文を受けてから豆をひき、1杯すつ淹れていきます。ドリップは布を使う「ネルドリップ」で、85℃の湯を少し注ぎ、豆を2分ほど蒸らします。

 そして少しずつ湯を加えて抽出、手間はかかりますが口当たりが滑らかで、深いコクのコーヒーができあがりです。

 店主の個性あふれるこだわりの純喫茶巡り、みなさんもいかがですか?