■厚みで出る“特別感”
高級食パンや生食パンなど、食パン専門店が続々オープン。
ブームが続く中、スーパーやコンビニなどで簡単に手に入るパンや材料で家でもおいしくできる方法を、テレビ・新聞・雑誌などで活躍中の“バタートースト評論家”梶田香織さんに教えていただきました。
まず、梶田さんが始めたのはパン選び。ポイントは「厚み」です。
梶田さん:
「スーパーで売っている手頃な食パンでも十分おいしくできます。ポイントは何枚切りを選ぶか、つまり『厚み』です。何枚切りかは実は地域差があって、おもしろいところです」
パンの枚数に何と地域差があるそうで、梶田さんによると東海地方と関東は6枚スライスが主流、関西は5枚、西に行くほど厚めが好まれるとのこと。今回選んだのは、厚めの4枚切りです。
梶田さん:
「スーパーで売られている食パンもずいぶんおいしくなっていて、パン生地のおいしさを味わうには厚めがおすすめです。外のカリッとした食感と、中のパン生地のおいしさを楽しむことができ、きっといつもと違う特別感があると思います」

■高級バターで美味しくなる…というものでもない
次にトーストといえばバターを準備したいところですが、最近は少し価格が高めです…。
梶田さん:
「お子さんが多い家では『バターばかり使っていられません!』という声をよく聞くのが現実です。でも、トーストのおいしさは“パン生地と塗るものの味の相性”で決まるので、高級バターを塗ればおいしくなるというものでもありません。マーガリンでも自分がおいしいと思う味に近づけていくことができますし、そこが自分で作るときの醍醐味でもあります」
マーガリンでも大丈夫と太鼓判を押してくれた梶田さん。そしてもうひとつ、どこの家庭にでも必ずある調味料が必要だといいます。それが…「塩」。
塩が必要なのは「東海地方の喫茶店文化」に理由がありました。
喫茶店では昔からマーガリンが使われているお店も多く、その味こそが「喫茶店のトースト」のおいしさを生み出していることもあるそうです。
梶田さん:
「最近はマーガリンだと思っていても、『ファットスプレッド』といって、塩分が控えめなタイプも売っています。家でトーストに塗って食べた時、思ったよりもおいしくないと感じる時は、ほんの少し塩を振りかけると喫茶店のトーストのように食べごたえのある、キリッとした味になります。さらに、甘味のある塩や岩塩にすると、味わい深さや食感も一層楽しめます」

■美味しく焼くコツは“高温短時間”…予熱のススメ
バターを塗ったらいよいよ焼きますが、もちろんその時にも重要なポイントが…。
梶田さん:
「パン生地の水分をできるだけ飛ばさないよう、高温短時間で焼くこと。そのためトースターをあらかじめ温めておくのがオススメです。その間の時間を使ってもう一工夫しましょう、パンに切れ目を入れておきます。そうすることで、手でちぎる際に食べやすくなりますし、見た目も美しくなります」(※お使いのトースターによって使い方や温度は異なりますので説明書を読んで注意して使用ください。)
切れ目はパンの厚みの半分くらいの深さまで入れるのが“梶田流”。トースターが温まったら、パンを入れて焼きます。
梶田さん:
「いつもより厚めのパンを焼くので、上部ヒーターに近い分、ちょっと早めに焼けるはずです。お好みの焼き上がりのタイミングを見逃さないようにしましょう」

■最後のヤマ場…焼きあがったらマーガリンは「すぐ塗る」
焼きあがったら「すぐに」マーガリンを塗る!
梶田さん:
「ここが大勝負です。そのため、パンを焼いている間にマーガリンは冷蔵庫から出し、すぐに塗り拡げやすいよう、使う分だけを常温に戻しておきましょう。バターナイフやフォークで練るように混ぜれば、マヨネーズくらいの柔らかさになります」
すぐにマーガリンを塗ると、その面は一面キラキラに…この美しさは?
梶田さん:
「パン生地の焼けた熱でしっかり溶け込もうとしている証です。溶けてしみ込んだパン生地独特の風味と合わさることで生み出される味わいこそ、トーストのおいしさです。このキラキラがおいしさの合図です」
塗り終わったら、お好みで塩も一振りしてみてください。

■“あなた色”のトーストに…トッピングでスペシャルモーニングに
マーガリンを塗り終わったトーストに、ジャムやあんこを添えると・・・喫茶店のようなゴールデンモーニングにもなります。
専門家が教える“おいしいトーストレシピ”。いつもの朝がキラキラした朝になるかもしれません。
【バタートースト評論家 梶田香織】
喫茶店王国の名古屋に生まれ育ち、バタートースト食べ歩き歴35年以上。栄養士の資格を取得後、敷島製パン株式会社(Pasco)本社開発部で試作研究開発を担当。 現在はその経歴を活かし、数々のテレビや雑誌で活躍中。