■「尾張名古屋あたりで生まれ、江戸で流行った…」

 大混雑の10連休。宿やテーマパークはもう無理…とあきらめている方、予約なしで楽しめる過ごし方はいかがでしょう。実は今、いなり寿司がちょっとしたブームになっています。

 その本場、愛知県豊川市のオススメ店を巡る旅です。

 いなり寿司発祥の地は東海地方といわれていて、江戸時代の百科事典『守貞謾稿』を見ると、「尾張名古屋あたりで生まれ、天保(1830~1844)ごろ江戸で流行ったらしい」というが記載ありました。

 最初に訪れたのは、豊川稲荷から歩いてすぐのところにある創業85年の老舗「まつや」。

 菜の花やふき、たけのこなど春の食材で彩られた華やかないなり寿司…愛知県の特産品がたくさん使われています。

 女性に人気の「大根漬けいなり」を食べてみると、大根がシャキシャキで口の中がさっぱり。いなりの酢飯と油揚げの甘味がアクセントに。

まつや若女将 安部さん:
「白砂糖ではなく、きび砂糖、ミネラルをとれるように使っています」

 ヘルシーないなり寿司。揚げの作り方を見せてもらいました。

まつや若女将 安部さん:
「うちのいなり寿司はあっさりめでございますが、しっかり油抜きをしているんですね」

【老舗「まつや」の揚げの作り方】

・沸騰したお湯に塩をひとつまみ入れ、油揚げを10分以上茹で、油をしっかり洗い流す

・冷水に10分さらし、袋を開きやすくしてから、きび砂糖、みりん、しょうゆの煮汁で30分、継ぎ足しの煮汁を加えて20分煮る

・熱いうちに揚げを広げて整えて、冷蔵庫でひと晩寝かせる

・柔らかく味がしみ込んだ揚げが完成

 まさに老舗のこだわりが詰まった逸品です。

■わさび稲荷は“ダブルわさび”

 続いては、豊川稲荷の目の前、「門前そば 山彦」。名物は、わさび稲荷です。練りわさびの上に、さらに葉わさびを加えたダブルわさびなんです。

 寿司飯の中にわさびが入っているのはありますが、葉わさびと練りわさびまであるのは珍しいそうです。

 豊川流わさびいなりの味は、わさびがしっかり効いていますが、揚げの甘さでだんだん馴染んでいきます。

 門前そば山彦の山本芳世社長によると、お酢がちょっと変わっているそうです。普通のお酢でなく、ちょっと黄色いお酢を使っているんです。

 また、2種類の醤油を使って煮た揚げは、しっかりとした甘さ。ここに甘みの強い寿司飯を詰めるので、わさびをたっぷりのせても合うといいます。

 ちなみに、おいしいいなり寿司を作るのに、ご飯の詰め方のポイントを聞きました。

山本社長:
「ふんわり(揚げのなかにご飯を)入れるような感じで。そうするとやわらかく、時間がたっても(いなりが)かたくならない」

 お弁当にいなり寿司を入れる時も、ふんわり握れば固くならずにすむそうで、これは家庭でも使えそうです。

■めちゃくちゃ自由…最新のいなり寿司

 次は、「来恩(らいおん)」のいなり寿司です。新商品は、流行の韓国グルメ、チーズドッグにちなんだ「ホットクいなり」!チーズ入りのいなり寿司に、天ぷらの衣をつけて油で揚げています。

 外はカリカリで、中のチーズがトロ~っととろけて、あまい油揚げにしっかり絡んでボリュームたっぷり。

 チーズが伸びるところも、本家をしっかり再現。他にも、辛子明太子いなり、ラクレットいなりなど、まさに自由ないなり寿司でした。