■愛知県豊田市から東京五輪を目指す 競泳・背泳ぎの小西杏奈選手

 おもりを運んできた、トレーニングウェア姿の1人の女性…。

Q.これ何キロですか?

女性:
「20キロです。今から懸垂するのに使います(笑)」

■小柄な体格に秘めるパワー 懸垂は20キロのおもりをぶら下げて

 なんと、20キロのおもりをぶら下げて懸垂!強靭な肉体を持つ彼女、一見ボディービルダーかと思いきや…。

小西選手:
「中京大学出身、サイサン所属の小西杏奈です。競泳の背泳ぎをやっています」

 豊田市在住の22歳。大学卒業後も、慣れ親しんだ中京大学で練習しています。

 身長159cmと水泳選手としては小柄ですが、ライバルとの体格差をカバーしているのは持ち前のパワー。

小西選手:
「泳ぎの中では、ひとかきでしっかり強く押せるようにして、他の選手と身長差が結構あるんですけど、ストローク数は変わらないとか」

■体格差を埋める秘策は「スタート」にも

 さらに、体格差を埋める秘策はスタートの構えにもありました。他の選手と比べてみると…足の位置は高く、背中は大きく後ろに反っています。

小西選手:
「やっぱり体の大きい選手の方がスタート飛び出しやすいので、それをなくすために上からスタートして」

 一般的に体が大きい方が有利といわれる中、水面の上から飛び出すことで水の抵抗を抑え、苦手だったスタートを武器に変えました。このスタートは世界中でも彼女だけ。

 独特のフォームを考案したのは、大学時代から彼女を指導する草薙コーチでした。

草薙コーチ:
「普通は『これをやったら速くなるよ」っていうのを疑ってかかってやらないと思うんですけど、逆に小西の場合は速くなる可能性があるならやりきるというタイプなので、気持ちと技術が噛み合って一気に伸びたというのはあるんじゃないかなと思います」

■小西選手の夢は「夢を与えられる五輪メダリスト」

 兵庫県に生まれ、2歳で水泳と出会った小西選手。幼い頃からの夢、オリンピックを目指し、大学で一気に力をつけると、3年生・4年生では日本選手権を連覇。さらに去年のアジア大会で銀メダルに輝いた遅咲きのスイマーです。

小西選手:
「大学に入ったときも、オリンピックに行きたいと言って入ってきたんですけど、ずっとどこかなんか、夢の話だなと思ってる自分がいて、アジア大会でメダル獲れたっていうのは夢に近づいて、やっと目標に変わったかなという瞬間だったので、1つ、大きな1歩踏み出せたのかなと思ってます」

 そんな小西選手の目標は「夢を与えられるオリンピックメダリスト」。

 体格差というハンデを補う努力と工夫。遥かなる夢だったオリンピックは、手の届くところへ近づいています。