■スタバも新店舗をオープン!全国で注目の「ロースター喫茶」

 今、全国的に注目が集まっている「ロースター喫茶」。

 コーヒーを生豆の状態で仕入れ、焙煎、販売するスタイル。今年2月には、あのスターバックスが焙煎工房を併設した新店舗「スターバックス リザーブロースタリー」をオープン。連日大盛況となっています。

 しかし実はこのスタイル、愛知県では昔からあるんです。

名古屋の喫茶文化に詳しいライター大竹敏之さん:
「愛知は元々“ロースター喫茶王国”なんです。喫茶店のニーズが非常に高い、それを経営指南する役割としてロースターが必要とされたんです」

■“ロースター喫茶王国”愛知を支えてきたコーヒー店

 名古屋市東区、イトウコーヒー本店。こちらでは世界各国から厳選されたコーヒー豆を販売しています。

Q.こちらはコーヒー豆だけの販売ですか?
イトウ珈琲商会社長 伊藤さん:
「家庭でレギュラーコーヒーを楽しんでいただこうということで、店を出しております」

 イトウコーヒーは昭和26年創業。コーヒーの卸売り業からスタート。やがてコーヒー豆の輸入・焙煎・販売を手掛けるようになり、今では東海3県約700店舗の喫茶店などにコーヒーを配送しています。

■味の秘訣は焙煎方法に

 そんなイトウコーヒーの味のこだわりを探るため、焙煎工場へ…。

 豆の倉庫では、南米、アフリカ、東南アジアなど、およそ10ヵ国から買い付けたコーヒー豆が積まれています。焙煎前の生豆は、少し緑がかっています。

イトウ珈琲商会 工場長 伊藤さん:
「(この状態の豆は)全く香りも何もないです」

 生豆はパイプを通って吸い上げられ、隣にある巨大な焙煎機へと運ばれます。1日およそ1.5トンも焙煎されているんです。

 焙煎機から煙が出てきて、焼きあがった焙煎豆が流れ出てきました。

Q.1番のこだわりは何でしょうか?
伊藤工場長:
「1番のこだわりはブレンドコーヒーです。6種類の違う生産国の豆を、豆にあった最適な焙煎方法、焙煎度合で焙煎し、あとからミックスする。そうすることによって本当に風味が豊かないいブレンドコーヒーができあがります」

 それぞれの豆を、土壌や気候に合わせ最適な温度や時間で焙煎し、最後に混ぜ合わせる「アフターミックス製法」を採用。豆をよく知るプロならではの製法です。

 手間はかかるものの、このやり方がおいしいコーヒー作りには欠かせないとのこと。さらに、カッピングといわれる味のテストも。焙煎した全種類の豆を毎日欠かさずチェックしています。

■コーヒーメニューが24種類も…

 このアフターミックス製法で作ったコーヒー、全ての豆を1度に焙煎したコーヒーと、どれくらい味の違いがあるんでしょうか?

 愛知県知立市にあるイトウコーヒーの直営店、遇暖(ぐうたん)知立店で飲み比べをしてみることに。

 まずは1度に焙煎したコーヒーから…。

リポーター:
「ちょっとアメリカンな感じで、あっさりとしたコーヒー」

 そして、イトウコーヒーこだわりのアフターミックスは?

リポーター:
「全然違う!深みが違います。同じ豆を使ってもこんなに違うんですね」

 ロースター喫茶の実力を実感。しかしスゴさは、焙煎だけではありません。

 コーヒーのラインナップも魅力の一つ。全24種類と豊富なメニューがあり、種類によって淹れ方も変えています。

 1種類の豆から作るストレートコーヒーの場合は、豆の持つ味をしっかりと引き出すことのできるサイフォンで。コーヒーの粉がお湯に浸されている時間が長いので、より濃厚な味わいになるんだそうです。

 じっくり出来上がりを待つのもサイフォンの楽しみの一つ。優雅な時間です。2杯分楽しめるストレートコーヒー「マンデリンウルトラ」648円。

 サイフォンの場合、コーヒーと混ざるお湯の温度が高いため、より豊かな香りが楽しめるという嬉しいおまけも。

リポーター:
「香りの割にはあっさりしていて、微妙なほろ苦さ、甘みもしっかりあります。おいしくて飲みやすいです」

 続いては豆を混ぜ合わせるブレンドコーヒー。「遇暖ブレンド」432円。こちらは、布を使ったネルドリップ。

 最適な温度、92度のお湯で、少しずつ蒸らしながら丁寧に淹れていきます。布は紙よりも目が粗いため、淹れたときにコーヒー豆の油分が少し残って口当たりがまろやかになるんだそうです。

■コーヒーの美味しさを際立たせるグルメも

 コーヒーだけ…かと思いきや、こちらのお店はグルメにも手抜きなし!

遇暖知立店 掛塚店長:
「菜の花とサーモンのカルボナーラグラタンです」

 ペンネ、ジャガイモ、旬の菜の花、そこにホワイトソースと生クリームをたっぷりと。

 さらにその上にサーモン、卵黄、そしてチーズをかけてオーブンでじっくりと焼き上げた「菜の花とサーモンのカルボナーラグラタン」(1080円)。

 ボリュームたっぷりでしかもお値打ち!季節限定のメニューです。さらにデザートにもこだわりが。専属のパティシエが腕をふるう魅惑のデザート。

 なかでもおすすめは、愛知・安城産の旬のイチゴをたっぷり使った「いちごのタルト」648円です。

掛塚店長:
「いちごが甘いので、タルトの生地は甘さ控えめになっています」

 甘さ控えめのデザートも、すべてはコーヒーのおいしさを際立たせるため。とことんこだわったロースター喫茶でした。