学校にあるプールではなく、街のスイミングスクールで授業する学校が出てきています。
生徒にも、先生にも、スクール側にもメリットがある「一石三鳥」とのことで、どんな授業なのか取材しました。

■水泳の授業を外部で…進む!スイミングスクールの活用
愛知県北名古屋市にある西春日井スイミングスクール。子どもたちが一生懸命泳いでいます。
先生:
「はい、『授業』終わります。全員起立!」
行われていたのは学校の「授業」。北名古屋市立西春中学校の生徒たちが、水泳の授業としてスイミングスクールを利用しています。
今年度から始めているそうですが、学校を取材してみるとプールはありました。故障でもしているのかと聞いてみると…?
北名古屋市教育委員会 諸星さん:
「特に(故障など)そういうことではなく、生徒からも先生からも大変評判が良かったので」
そもそも「学校のプール」といえば?街でイメージを聞きました。
男性:
「寒くて嫌だな。ガタガタ震えている人がいたような気がします」
別の男性:
「プールサイドがコンクリートが熱いですよね。アツアツ!って言いながら歩いてました」
女性:
「外のプールだったので、すごく汚いイメージ。なんかトンボとかがめっちゃいました…」
確かに屋外施設だけあって、「プールサイドが暑い」、「プールの中は寒い」、「虫が多い」。共感した方、多いのではないでしょうか。

■メリットその1 生徒にとって快適な環境
では、スイミングスクールではどうなのでしょうか。生徒達に聞いてみます。
男子生徒:
「暑くもなく寒くもなく、結構いい水で泳げたなって」
女子生徒:
「(学校のプールは)外は暑いけど中に入ると、温度差が激しくて体調を崩しちゃう子が多くて、なのでこっちの方がいいです」
計ってみると、室温は33度、水温は31度と一定に調整。スイミングスクールを授業で活用することは、熱中症対策として効果的なのです。
北名古屋市では去年、猛暑でプールサイドの気温がなんと45度を超えたことがあり、水泳教室を中止したこともあったといいます。
さらに、更衣室のロッカーも鍵付きで安心、と設備の充実ぶりが生徒にとってはメリットのようです。

■メリットその2 学校側にとっての指導面
メリットは、生徒だけではなく、教える側の先生にもありました。
西春中学校 体育教師・石橋さん:
「昨年度までは4名体勢での指導だったんですけど、今年度からインストラクターも入って8名で教えています」
スイミングスクールのインストラクターの力を借りて、最大8人で指導することが可能になりました。
人数もたくさんいるため、泳ぎのレベルに合わせて、得意なグループや苦手なグループなど、3つにクラスが分けられるようになり、より細かい指導ができるようになったといいます。その結果…。
男子生徒:
「平泳ぎが得意になりました。(Q、今まではできた?)全然できなかったです」
別の男子生徒:
「全く泳げなかったです。初めて25m泳げた」
女子生徒:
「(去年の屋外プールでは)見よう見まねで、生徒で教えあって泳いでいました」

■メリットその3 年間のコストも半分以下に
さらに学校側にとっては現実的なメリットもあります。
北名古屋市教育委員会 諸星さん:
「結構安価にやれるということもありまして。新築して、水道代、電気代、とコストを試算すると、1年間で1000万円かかります」
水道代に温水シャワーのガス代、さらに水をろ過する機械の電気代、プールサイドの修繕費など、維持費がかさむプール。
さらに新築すれば億単位となり、総合すると毎年1000万円程度かかってしまうそうです。

それが民間のスイミングスクールを利用することで、年間およそ400万円と半分以下にまで抑えることができました。ちなみに取材したスクールでは、バスで送迎までしてくれるので、さらに節約できているのだそうです。
スクール側にも、比較的すいている午前中に学校の授業を請け負い、施設を効率的に運営できるメリットがあります。

課題としてあがったのは、例えばバスの移動の都合などで、2時間連続の授業になることがあり、学校側が時間割の調整に苦労することが難航することがあるといいいます。
それでも環境・指導面・費用と、一石三鳥の民間プール利用。これから採用する学校が増えていきそうです。