25日、静岡県御殿場市の陸上自衛隊東富士演習場で、年に1度の演習が行われました。自衛隊が災害時の救援活動にあたる姿を目にすることはよくありますが、この演習は、国の防衛にあたる実力組織としての一端を知ることができる少ない機会です。

 およそ2万人が見学に訪れた演習場で、安倍総理が熱心な憲法改正についても聞いてきました。

■40キロ離れた『敵』も攻撃可能な自走砲

 富士山の東の麓に広がる、静岡県御殿場市の陸上自衛隊東富士演習場。25日、ここにおよそ2万人が詰めかけました。

 年に1度開催される富士総合火力演習。隊員2400人、戦車や装甲車80両、航空機20機が参加する、陸上自衛隊最大の実弾を使った演習です。

リポート:
「自走砲の射撃が始まりました。射撃地点から2~300メートル離れていますが、耳をつんざくようなすごい音がします、地響きもします」

 3キロ離れた山を標的に見立て、一斉に射撃。「自走砲」とは、その名の通り自走できる大砲です。機動力と、40キロ離れた敵も攻撃できる強力な火力が特徴です。

「富士山型」に炸裂させる連係プレーも…。

 また、大きく重たい砲をより素早く移動できるようにした最新型の自走砲も初めて公開されました。

■“日本版海兵隊”とも呼ばれる『水陸機動団』も登場

リポート:
「演習は、島に上陸した敵部隊を撃退するというシナリオに基づいて行われています」

 クライマックスがこの離島防衛を想定した演習。誘導弾で近づいてくる敵の船を狙い、上陸した敵に対しては機動力の高い「装輪装甲車」を展開します。

 そして、水陸両用車で上陸したのが、去年発足したばかりの「水陸機動団」。日本版海兵隊とも呼ばれる部隊です。

 対戦車ヘリコプターが空から地上部隊を援護。最後は戦車部隊が突撃して敵を制圧しました。

 今回初めて演習に加わったのが、筒状の箱を背負った「電子戦部隊」の車両。「電子戦部隊」は、敵の通信やレーダーを妨害する機能を持つ、新しい時代の戦いに対応する部隊です。

 自衛隊の実力を垣間見た来場者に話を聞きました。

来場者の女性:
「すごく実弾が命中するので、すごくよく訓練されてらっしゃるんだなと思いました」

来場者の男性:
「迫力はあるなとは思いますね。装備もすごい精度が高いのが揃っているような感じがして」


■自衛隊の火力演習を見に来た人に聞いた“憲法改正”

 ところで、自衛隊を巡っては憲法9条を改めて条文に位置づけようという動きが現実味を帯びています。訪れた人に、憲法改正についても聞いてみました。

女性(会社員32歳):
「私は今のままの方がいいです」

男性(20歳学生):
「難しいですね。けど自衛隊が今あることは確かなので、それを別に憲法に書いても僕は問題ないんじゃないかなって思います」

男性(57歳会社員):
「憲法を変えること自体は私は反対したいなと思うんですけれども」

男性(56歳会社員):
「人それぞれなんでしょうけどね、私としてはやっぱりこうやって助けてくれる人たちが、なにかよく分からない存在というのは腑に落ちないところがあるのでね、自衛隊は、憲法の中でちゃんと認められる位置づけの方がいいのかなと思いますね」

■“令和の自衛隊”…そのあるべき姿は

 賛否色々な意見がありましたが、令和の時代に自衛隊にどうあって欲しいか尋ねると…。

男性(35歳会社員):
「いま周辺国が、問題になっているところありますので、国防というところ、担ってもらうというところで大事だと思いますし、災害救助っていうところでも大事だと思います」

男性(32歳公務員):
「戦争を起こさない、戦争をさせないというような自衛隊であってほしいと思います」