全国展開はせず、その土地ならではの魅力的な食品を楽しむことができる「ご当地スーパー」。そんな富山のご当地スーパーが今年4月、岐阜県美濃加茂市に進出。そのスーパーで「富山の魅力」を取材しました。
■約130種類も…この店ならではのプライベート商品が充実
4月に岐阜県美濃加茂市にオープンした富山県のご当地スーパー「アルビス」。東海3県には初進出です。

鮮魚コーナーが充実。スーパーに魚がそのままの姿で並び、4月の取材時にはカレイにカサゴといった高級魚、そして生のホタルイカに、富山県産の「方々(ホウボウ)」という魚もありました。

これだけ魚がそろう理由は、1日に2回、3回と、北陸から朝一番に獲れた魚を運んでいるためです。手間をかけて鮮度にこだわっているのです。
1968年に富山県で食品卸業として創業した「アルビス」は、北陸を中心に店舗を拡大し、ついに東海地方へも進出。美濃加茂店が60店舗目です。
大きな特徴の1つが、プライベートブランドの充実ぶり。ご存知富山の名産「鱒すし」に北陸では定番のカニ風味のかまぼこ「カリブdeサラダ」など、およそ130種類をラインナップしています。
■“ととぼっちのかき揚げ”とは…最大のウリは「魚屋さんの惣菜」

魚屋さんの総菜コーナーには、定番の魚の煮つけに、あまり見かけない「ばい貝の煮つけ」まであります。これは、北陸ではよく食べる惣菜で、この店ではおいしい魚をすぐに食べてもらえるよう、惣菜に加工しています。

また、白えびのから揚げなど、温めるだけで家庭で北陸の味が手軽に楽しめます。
なかでも是非食べたいのが「ととぼっちのかき揚げ」。「ととぼっち」とは、真イワシをすり身にしたもので富山県氷見地方の郷土料理の名前です。

そのままでも食べられますが、富山では野菜と混ぜて、かき揚げのようにして惣菜としても販売されています。
■どんな刺身でも挟む?富山の食卓の定番「昆布締め」

そしてこの店には、富山ならではのグルメが他にもたくさんありました。
昆布の中に刺身を挟んだ郷土料理「昆布締め」は定番のカジキマグロにホタルイカ、さらには甘えびまで、刺身なら何でも挟んでしまうようです。
厚切りにカットされた刺身を昆布の中に挟み熟成させることで、魚の水分が吸われて身が締まり、うまみが加わるといいます。

かつては魚を保存する目的でしたが、昆布の旨味が刺身で味わえるとして、食卓の定番になっています。
ちなみに富山は、全国でも1、2を争うほどの昆布の消費量を誇る「昆布大好き県」で、とろろ昆布にかまぼこ昆布もありました。

ほかには、色が真っ黒のイカの塩辛、富山の名産「黒作り」。富山では塩辛は黒が定番です。
イカの塩辛にイカ墨を入れるという、いたってシンプルな作り方で、味はほんのり苦く、甘酸っぱい味付けが癖になるといいます。

江戸時代には加賀藩のお殿様が、将軍家に献上していたという、由緒正しき一品です。
「ご当地スーパー」で、他の地域の食文化を楽しんでみてはいかがでしょうか。