11月22日、23日に名古屋で開催された「G20外相会合」。今回、各国の大臣らに贈られた「お土産」は江戸時代から伝わる職人の技を生かした逸品でした。

 GSOMIA失効がギリギリで回避され、G20外相会合で顔を合わせた日本の茂木外相と韓国の康外相…。会談の冒頭、両外相は握手を交わしたものの表情はぎこちないまま。単なる問題の先送りか、それとも日韓雪解けのスタートか…。首脳会談開催に向け調整を進めることで一致しました。

 シビアな外交の舞台となる一方、ニッポンそして愛知の魅力を海外に発信する場でもあった、G20外相会合。各国の大臣らへ贈られたお土産が、樹齢300年の木曽ヒノキで作った「ボトルクーラー」です。

 美しい木目としなやかな形状…日本の自然と伝統の技が生んだ逸品です。手がけたのは名古屋市熱田区の神具メーカー・岩田三宝製作所。

扇のような形をした木曽ヒノキの一枚板。その両端をカンナで薄く削っていきます。

岩田康行さん:
「先端が若干透き通るような感じまで、刃物を入れて加工します」

 板のふちは1ミリ以下の薄さに。

続いてお湯で板を蒸らします。そして溝に沿って折り曲げ、筒の状態にします。これが伝統の「曲げ加工」です。

 木曽ヒノキの一枚板を匠の手で仕上げたボトルクーラー。優れているのは見た目の美しさだけではありません。

岩田さん:
「保温能力がヒノキはすごく高くてですね、少量の氷水でボトルの中の温度を一定に保てるというのが特徴の一つです」

 会社は江戸時代の創業で岩田さんは七代目。鏡餅やお供え物を載せる「三方」を手掛ける数少ない専門メーカーです。

 ライフスタイルの変化などで売り上げが減少する中、新たな需要を開拓しようと去年、ボトルクーラーを開発し、今回名古屋商工会議所を通じて各国の外相らへの贈呈品として採用されました。

岩田さん:
「10月の頭ぐらいに決まって、それから寝る間も惜しんで頑張ってつくりました(笑)。この商品たちが実は伝統的工芸品をつくっているものなんだと、知っていただくきっかけになればいいなと思って」