転んだ拍子に足の付け根を骨折する患者が、高齢者を中心に年々増えています。より速く正確な診断が求められる中、骨折をAI=人工知能で診断する技術を、愛知県蒲郡市の医師らが日本で初めて開発しました。精度は、専門医と同じレベルだということです。

 蒲郡市民病院の佐藤洋一医師らが発表したのは、日本初となる骨折を診断するAI=人工知能。レントゲン写真のデータを分析し、AIが骨折した箇所を赤く光らせるといいます。

 診断できるのは太ももの骨「大腿骨」で、特に足の付け根の骨折写真などレントゲン写真1万枚を半年かけて繰り返し学習させ、現在は専門の医者と同じ精度で診断できるといいます。

佐藤医師:
「(レントゲン写真を示し…)足が痛いということでレントゲンを撮らせていただいたんですけど、確かにちょっと分かりにくい。ここの色がちょっと濃くなっているので、折れているんじゃないかという見立てができます」

 大腿骨を骨折する患者は、年間およそ15万人。中でも転倒で骨折する高齢者の割合が急増していて、厚生労働省は2040年には年間の患者数がおよそ25万人にのぼると予想しています。

佐藤医師:
「診断に迷う時って非常に多いんですね。(夜勤の)救急の先生であったりとか、夜中にかなり疲れている中で働いてますので、(AIの)後ろ盾があるというのは、精神的な安心感にもつながると思います」

 佐藤医師らはレントゲン写真をスマホなどで読み込むだけでAI診断できる医療従事者向けのアプリを開発し、来年にも現場に導入したいとしています。

 なお、下記の「NPO 名古屋整形外科地域医療連携支援センターAI研究部門」のサイトでは、今回のAI診断システムの研究の詳細が掲載されています。

【NPO 名古屋整形外科地域医療連携支援センターAI研究部門のサイト】
https://www.fracture-ai.org/