感染拡大が止まらない新型コロナウイルス。週末には名古屋市で他の感染者との接点がわからないケースも発生しました。名古屋市は「市中感染になる可能性がかなり高くなってきている」と警戒しています。

 名古屋市緑区の南生協病院。ベッド数313床を備えた総合病院ですが、1日から救急も含め、外来を休診にしています。

(リポート)
「昨日から救急と外来患者の受け入れを休止していますが、知らずに来てしまった人のために出入り口に職員を立て、対応にあたっています」

 この週末、ついに名古屋でも病院に入院中の患者の感染が確認され、混乱が起き始めました。

南生協病院 直江浩幸院長:
「当院に入院中の患者さま1名について遺伝子検査を実施したところ、新型コロナウイルス感染陽性と判明しました」


 2月29日、70代の女性の入院患者が、新型コロナウイルスに感染していたことがわかりました。

 さらに1日には、50代と80代の女性の入院患者についても、感染が判明。3人はもともと同居していたということで、院内ではなく入院する前から感染していた可能性が高いとみられています。

 病院は、3人が入院する病棟の医師や看護師らを自宅待機とし、外来を休診する措置を取りましたが、困るのは持病を抱える通院患者。

このため病院は、敷地内にある別の建物の一角に問診するスペースを設け、薬が必要な患者に処方箋を出す対応を取りました。

患者:
「病院から電話がありまして、『お薬がない方は今日来てください』と言われた。今日も本当はどうしようかなと迷ったんだけど、お薬だけは欲しいかなと思って」

別の患者:
「今日は(薬を)思い切ってくれた。1か月分くれた。(影響がいつまで続くか)『まだわからないから』と言って。『定期的な薬だから長いことあげますよ』と言ってくれた」

また別の患者:
「ここに来るのもちょっと怖かったんですけど。(薬を)もらえないとやっぱり困りますしね。助かりました」


 今回の入院患者の感染で、事態は深刻さを増しています。

河村たかし・名古屋市長:
「市民の皆さんからすれば、どこでうつるかわからん状況になった。平たいことを言えばそういうこと、よっぽど気を付けてと」

大村秀章・愛知県知事:
「おとといからそうでない集団、クラスターにも感染が確認されているということで、ステージは変わった

 南生協病院に入院する3人の患者は、感染のルートがわかっていません。

 さらに1日にも、他の感染者との接点が見つかっていない60代女性の陽性も確認されました。

 新たな局面を迎えようとしている、新型コロナウイルスの感染。

河村市長:
「市内において感染経路が明らかではない患者さんが、散発的に発生する状況となってきているという認識のもと、全市を挙げて感染拡大防止に取り組んでいる」


 一方、政府は集団感染の防止へむけこのような呼びかけを…。

安倍首相:
「特にスポーツジムやビュッフェスタイルの会食など、換気が悪く、密集した場所や不特定多数の人が接触する恐れが高い場所では、感染を拡大させるリスクが考えられるため、このような空間に集まることを避けてください」

 安倍首相が要請したのは、「密閉空間」での感染リスク回避。

 愛知県内の感染者を見ても、これまで感染が確認されている32人のうち、半数以上が2つのスポーツジムの利用者だったことがわかっています。

 厚労省は千葉県のスポーツジムについても、1人が4人に感染を広げていると分析。

また東京の屋形船のケースでも12人に感染拡大したとしています。

 さらに神奈川県鎌倉市では、ヨガスタジオを利用していた50代の女性の感染が確認。

3人の感染が確認されていた大阪市のライブハウスでは、2日新たに愛媛県に住む40代の女性銀行員の感染が発覚。

 密閉空間を介したとみられる感染拡大が続いています。