2日から始まった学校の休校措置。名古屋市の学校では、自宅で過ごすことができない子供の受け入れが始まりましたが、会話が制限されるなど、子供たちへの負担が心配される現状がありました。

 さらに、卒業式や学童保育などにも影響は広がっています。

 名古屋市北区の清水小学校。3日、昼ごはんの時間を覗くと、子供達は離れて座り、無言でご飯を食べていました。

男の子:
「ずっと一人で食べていました…楽しくはない。外で遊んでドッヂボールしたい」

女の子:
「学校にいるんじゃなくて、図書館にいるみたい」


 新型コロナウイルスに伴い、2日から休校となった名古屋市立の幼稚園や小中学校。親が仕事などで自宅で過ごすことが難しい子供たちの受け入れが、3日から始まりました。

共働きの親:
「仕事があるので、妻も共働きでもう本当に助かります」

別の共働きの親:
「祖母に預ける予定だったので、そうすると往復の時間とか、高齢者に預けるのもそちらのほうが心配だったので」


 教室では…。

(リポート)
「机の間隔が広いですね。1人ずつ座って黙々と勉強しています」


 普段は30人ほどの児童がいる教室ですが、一部屋に入る児童を10人までに制限。

昼ごはんと同様、会話は禁止です。

教師:
「空気を入れ替えて、手洗い・うがいしたいと思います」

 感染を予防するため、1時間に1度の換気と手洗いを徹底。教室の外にも出てはいけないルールで、低学年の児童は眠気に誘われます。

慣れない環境に、今後児童のストレスも心配されます。

清水小学校 鈴木登美雄校長:
「ちょっとかわいそうではありますが、仕方ないかなと思います。教育的なビデオとか流してみる時間とかも作っていこうかなと」


 一方、涙を浮かべながら合唱する卒業生。名古屋市東区の中学校で3日に開かれた卒業式。

新型コロナウイルスの影響で「縮小型」となりました。教師や保護者は出席しましたが、在校生の姿はありませんでした。

 同じ東区の学習塾に通う、その中学校の3年生の女子生徒(15)。5日から始まる愛知県の公立高校入試まで1週間を切った2月28日、黙々と受験勉強に取り組んでいました。

女子生徒:
「あと一週間しかないけど、やらなきゃいけないことがたくさんあって焦っています…」


 受験を目前にして、突然放たれた「休校要請」に困惑。卒業式はいつものように迎えたいと思っていましたが…。

女子生徒:
「来客の人と在校生は休みになっていて、(出席は)保護者と3年生だけ。あと時間も縮小されてやります。在校生も交えて、例年通りの卒業式を迎えたかったなって思います」


 こうして3日に迎えた中学校生活最後の日、卒業式。生徒たちは卒業アルバムに思いをつづっていました。運動部だったこの女子生徒。本当は部活の後輩も一緒に、卒業式を迎えたかったといいます。

校長(式辞):
「数日前は、私はこの卒業式が一度は行われないというニュースを耳にしました。大切な機会を奪われてしまうみなさんのことを思うと、本当に悔しく、胸がいっぱいになっていました」


 例年とは違う「縮小」した卒業式。入り口には消毒液やマスクを設置。通常なら在校生などでいっぱいになる体育館も少しさみしい様子です。

卒業生の母親:
「卒業式なので、できればちゃんとした形でやらせてやりたかったので、本当にきょうを無事に迎えられてよかったです。受験の心配より、病気のほうが今年は心配ですね」

女子生徒:
「すごい良い思い出になったなって。(卒業式を)やれてよかったです。毎年1、2年生が最後に並んで見送ってくれるのでそれがなかったのは悲しいかなって思いました」


 教育現場の混乱は、子どもたちを受け入れる学童保育にも広がっています。

通常、学童は午後2時半から子供たちを受けいれていますが、学校が休校となった2日からは、朝8時前からに前倒しして対応しています。

 午前9時までに集まったのは、小学1年生から5年生までのおよそ20人。部屋に入ると念入りに手洗いとうがいします。さらに感染予防の対策として、1日に2度子供たちの体温を測るほか、部屋全体を除菌する製品を置き、定期的な換気も徹底しています。

専任指導員・山中さん:
「学童は第二の家ということで、子どもたちが楽しく安全に過ごせる場所でなければならないと思いますので、学童で感染させないようにできる限りのことをやっていきたいと思います」


 地域の保護者らで運営している学童。急な受け入れ時間の拡大で問題も…。

手伝っている保護者:
「急に学校が休みになって、学童を開所するようになったので、どうしても指導員が足りないところは父母が交代で入っています」


 指導員の数が足りず、保護者が仕事を休んで手伝っていました。

親たちの苦労を知ってか知らずか、子供たちはのびのびと過ごしていました。

子供:「1日中遊べて楽しい」

別の子供:「学童にいない友達がいないから寂しい」

また別の子供:「夏休みと同じ気分」


 あわただしく始まった休校措置。混乱はまだしばらく続きそうです。