新型コロナウイルスの予防で最も重要視される手洗いや、赤ちゃんへの感染が心配な授乳についての注意点や疑問について、感染症の専門家、公立陶生病院の武藤義和医師に聞きました。

■手洗いに使うのは「石鹸」か「殺菌タイプのハンドソープ」か
 愛知県東海市の30代男性から、「手洗いの際、石鹸は殺菌タイプのハンドソープと同じ効果を期待できますか」という質問です。

「殺菌タイプ」の方がより落ちそうな気もしますが、武藤医師によりますと「どちらでも構わない」ということです。

 手洗いの目的は「手についている細菌やウイルスを洗い流すこと」で、石鹸やハンドソープは、それを剥がれやすくする“手伝い”をするもののため、種類は関係ないということです。

 ちなみに“殺菌効果”があっても、ウイルスは菌ではないので、新型コロナに限っては特に関係ありません。

※菌は「小さな生物」、ウイルスは「菌よりもさらに小さい。菌のように細胞がない」

 ただし、武藤医師は「種類」よりも重要なポイントがあるといいます。それは「しっかり30秒は洗う」ことです。

 指の間、爪、手首、親指を含め、30秒くらい洗ってください。

■絶対に感染していないとは言い切れない中…「授乳」は?
 三重県松阪市の20代女性からは、「感染の疑いが否定できないなか、授乳はどうしたらいいか」という質問が寄せられました。

 武藤医師は、感染が疑われる場合の授乳については、問題ないとしていますが、注意点があると指摘しています。

 母乳にはウイルスが含まれることもほとんどなく、感染症に対する抗体がたくさん含まれていて、赤ちゃんの免疫力を高めるのに大変有効とされているため、新型コロナウイルスの不安で授乳をやめる必要はないということです。

 ただし、感染していても無症状の場合がありますので、「飛沫や接触に細心の注意」を払う必要があります。

 授乳は手の届く位置にいる“濃厚接触”にあたり、授乳中に咳やくしゃみをすれば赤ちゃんにかかってしまいます。

 授乳前にしっかりと手を洗ってマスクをして、飛沫を飛ばさないようにしながら赤ちゃんに母乳をあげてください。