愛知県で11日、新型コロナウイルスのPCR検査でミスがあり、24人が誤って陽性と判定されてしまいました。

 感染リスクにさらされた人、通夜も葬儀もできずに火葬されたケースもありました。一体なぜこのようなミスが起きてしまったのでしょうか。

大村愛知県知事:
「4月11日(土)に愛知県全体で34件の陽性患者が確認された。これはたいへん驚き、いよいよステージが変わったなと…」

 大村知事も驚いたという、11日土曜日の愛知県の感染者数。当初の発表ではこの日、愛知県全体で34人の感染者が確認されたことになっていて、それまで最も多かった日の21人を大きく上回ったのです。

 その大半、28人が愛知県の衛生研究所で確認されたものでした。ところが、12日深夜…。

愛知県の担当者:
「新型コロナウイルス感染症にかかるPCR検査について、誤りが判明いたしました。検査を受けられた皆さまをはじめ、県民の皆さんに深くお詫びを申し上げます」

 なんとPCR検査のミスが発覚したというのです。

 ミスが起きたのは名古屋市北区にある愛知県衛生研究所で、11日に行われたPCR検査。陽性者の検体が別の検体に混入してしまうミスがあり、実際は陰性だった24人が誤って陽性と判定されてしまったのです。

 このうち6人は判定後に入院しましたが、東海市の80代男性は感染者と2時間同室になったということです。

 また死亡後に陽性と判定された一宮市の80代男性は、通夜や葬儀が営まれないまま火葬されてしまったということです。

 そして「4人の感染者が出た」と発表された新城市は、市長が市民へ注意喚起を促すメッセージを出す事態に…。しかし実際は全員陰性でした。

 一体なぜこのようなミスが起きたのでしょうか。

大村愛知県知事:
「遺伝子の抽出工程において、陽性者の検体が、多分こうやった時(作業したとき)に、ウイルスですから飛散して、他の検体を汚染したということではないか」


 愛知県などによりますと、PCR検査では痰などの検体を遠心分離器にかけ、ウイルスが多く含まれる上澄みだけを採取。

 今回はこれを検査の機械に移す過程で陽性の検体からウイルスが飛び散り、陰性の検体に混ざってしまったのが原因とみられています。

大村愛知県知事:
「本来陰性だったものを陽性という形にしてしまったことについては、これは大変問題があるということでありますし、県民の皆さんには大変申し訳ないということで、心からお詫びを申し上げたい」


 愛知県は「人為的なミスで、再発防止に取り組む」としていますが、感染症が専門の医師は次のように指摘します。

公立陶生病院 武藤医師:
「0.1%から1%くらい、他の患者さんの検体が陽性の方の検体に汚染されるということが起こりうるというのが、この検査の限界でもあるんですね。陰性の人が陽性になる、感染症はないのにあると診断されてしまった人のリスクは、その本人が隔離をされる必要があるということに加え、やはり同じ病棟に陽性の方がいらっしゃるので、そういった方から感染していないのに感染するリスクがある」