去年3月に完成したにもかかわらず、「危ない」との理由でずっと通ることが出来なかった、愛知県阿久比町の町道。対策を取ったうえで、5月にも開通することになりました。

 道路には「通行止め」の看板。愛知県阿久比町の宮津地区に作ったにもかかわらず、1年以上、閉ざされたままの道路です。

 道路整備にかかった費用はおよそ7800万円。阿久比町を東西に走り、将来的に隣の半田市まで続く予定の54メートルの町道です。

 車は住宅街の中を大きく迂回して通行しなければなりません。

 道路があるのに車が通れない理由、それは…。

地元の住民:
「(近くの)東部小学校は(児童が)1000人いる。危ないというのが、僕も含めこの辺の人たちの意見。最低限でも信号を付けてほしい」


「信号機がないと危ない」という声が地元の住民から上がったのです。

 去年2月、試験的に通行できるようにした時の町道の様子を見ると、通勤と通学が重なる朝の時間帯は車が行き交い、中には横断歩道の手前でも停車することなく走っていく車も。

 安全確保のために信号機を設置すれば良いと思われますが、一筋縄ではいかない理由がありました。

 警察庁が定める『信号機設置の指針』。問題の町道は、示された5つの条件のうち、2つの条件を満たしていないのです。

 一つは「ピーク時の1時間あたりの交通量が車300台以上」あること。しかし、阿久比町の調査では289台とわずかに条件を満たしていませんでした。

 もう一つは「隣接する信号機の距離が原則150メートル以上」あることですが、一番近い信号機との距離は140メートルほどで、わずか10メートル足りないことから、愛知県警は信号機の設置を見送ったのです。

 これに対し阿久比町は、通行者が安全に通れるよう、「横断者注意」や「交差点マーク」などの路面標示を新たに設置することにしました。

 ほかにも車の停止場所を強調する紅白のラインを道路に施すなど、町でできる安全策をとることで、開通することに。

 信号機は設置されないということです。

地元の住民:
「歩行者に対しても安全が守られてないので、信号を適切に設置していただいて」

別の住民:
「通学路だし、信号がないのに開通させるというのはすごい反対」

また別の住民:
「真っすぐホントは行けるのに、いちいちここをグルっと回らなきゃいけないから、嬉しいですね」

 町道は5月16日に開通する予定ですが、新型コロナウイルスの影響で工事がずれ込んだ場合、遅れる可能性もあるということです。