日常生活に支障をきたさない業種に対し、愛知県が行っている「休業要請」。共働きやひとり親家庭の受け皿となる「学童保育」はその対象になっていません。

 学校が休校となる中、感染リスクと闘いながらも休みなく働く現場。それでも親や子どもに寄り添う施設長の思いを取材しました。

 名古屋市港区の「中川学童保育所」。周辺の4つの小学校の児童を受け入れています。

 子どもたちには体温が37度5分を超えていないか、自宅で検温するようお願いしています。

 受け入れ中も、午前中に1回、おやつの時間にも1回、体温を測ります。

 部屋の換気やマスクの着用はもちろん、外から帰ってきたら手洗いにうがい…子どもたちがついついさわりそうな場所の消毒も欠かしません。

中川学童保育所 長坂施設長:
「いつ(感染者が)出てもおかしくないような状況ではありますよね。これだけ色んなところで出ておりますからね。そういった意味では職員も不安を抱えています。ホントに必要な人が安心して安全に預けられるようになってほしいなと思っていますね」


 施設長の長坂さん。新型コロナウイルス対策で学校が臨時休校となる中、「必要な保育は継続する」とする名古屋市の方針のもと、施設の運営を続けています。

 名古屋市は家庭で見守りができる場合は利用を控えるよう呼び掛けていますが、この日も14人の子どもたちがやって来ました。

長坂施設長:
「皆さんきっと無理して登所を控えて下さってるところもあるんじゃないかなと思います。こうした時にわが子を学童に預けてることでバッシングを受けてしまうんじゃないかと心配をされてる方も。そういった中で預けちゃっていいんだろうかと悩みながら働かれてる方もいらっしゃいます」


 地元の飲食店が、子どもたちのためにお弁当を格安で届けてくれました。

 平日はこれまで、授業が終わる午後から開いていましたが、臨時休校となった3月2日以降は、ほぼ毎日朝8時から。

 世話をする子どもの数は減ったものの、受け入れ時間の拡大に感染対策と、負担はむしろ増えていて、長坂さんは2か月近く休みがありません。感染リスクとも闘い、終わりも見えない…それでも子どもたちや保護者のことを思うと、施設を閉じる選択肢はないといいます。

長坂施設長:
「当然のことながら預けて働かざるを得ない人たちってたくさんいらっしゃいますよね。子供たちが安全に過ごす、密接してはいけないというものの、来て楽しく1日過ごして帰ってくれればいいなという風に思っています」


 お迎えの時間。保護者に話を聞いてみると…。

母親:
「学校に行けないもので、こういうところで普段と同じような生活で楽しんでいることがよかったですね」

父親:
「ふたりとも共働きなのでこういうところがあると預けやすいし、仕事もしやすいんで非常に助かってます」

別の母親:
「医療関係です。休んで家でっていうのがベストだと思うんですけど、仕事上休めないし、かといって子供たちだけっていうのも不安だし。朝・昼・夕の検温もそうですし、拭き掃除とかしてすごい気を付けてくれてるなっていうのも感じます。やっぱり安心ですね」