三重県では7日から、新型コロナウイルスに伴う休業要請などが緩和され、県内の外出自粛要請も一部を除いて解除されますが、県外から三重県への来訪は引き続き自粛を呼びかけています。

このため、日本有数の観光地を抱える三重県では、県外からの客を受け入れることが出来ない宿泊施設が対応に苦慮しています。

(リポート)
「GWの最終日です。本来ですとこの道も、たくさんの方が行き交うはずですが、きょうはご覧の通りひっそりとしています。静かです」

 2016年のサミットを機に、その魅力が改めて見直され、伊勢志摩は今や世界から人々が訪れる場所になりましたが、新型コロナウイルスの影響で飲食店や土産物店も営業を自粛しています。

 その中心となる伊勢神宮も、参拝を午前6時から午後3時までに。

 そんな中、5日…。

鈴木三重県知事:
「新たな緊急事態措置については、社会経済活動の再開、あるいは今までの自粛などの緩和が、一部盛り込まれている。感染拡大の防止と社会経済活動の再開、これを両立していく」


 緊急事態宣言が5月末まで延長される一方で、特定警戒都道府県から外れている三重県は、県外からの利用を除くことを条件に、休業要請を一部緩和することを決めました。

 英虞湾の景色が美しい三重県・伊勢志摩。そのエリアの中にある鳥羽市は、人気の観光スポットですが…。

(リポート)
「鳥羽駅からすぐ近くの老舗旅館の戸田家です。臨時休業という文字があります。ロビーは真っ暗です。明かりが点いていません」

 創業190年の老舗旅館「戸田家」。鳥羽駅のすぐそばにあり、今では珍しい回転型の展望レストランでは、地元でとれた海の幸が楽しめると人気です。

戸田家の支配人:
「4月19日にお泊まりになられたお客さまが最後で、その次の日、20日の朝に玄関でお写真を撮られる用に(看板を設置した)。(日付が止まっていて)むなしいです、残念ですね。本当に普段は、お客さまにまた来てほしいとか、お話しすることが楽しみだったんですけども、お客さまの声が聞こえないというのは本当に残念でなりません」

 戸田家では、国の緊急事態宣言が出され全ての国民に外出の自粛が求められたことから、全館の休業を決断。5月14日まで臨時休業しています。営業を再開するためには多くの宿泊客が戻って来ることが求められますが…。

鈴木三重県知事:
「県外からの感染拡大を防止するため、苦渋の決断として、県外からの人の移動を自粛いただくよう、要請を行うこととなりました」

 感染拡大を防ぐためには県外からの人の流入を防ぐ必要があることから、ホテルや旅館については、県外の宿泊客の受け入れをしないよう協力を求めています。

 条件付きでの緩和…戸田家では。

戸田家の寺田社長:
「県外からのお客さまをお断りをするということが、果たしてできるのかどうか、難しいですね。7日から宿泊(予約)を頂いている分が、約200名様いらっしゃいます。その中で県外の方がほとんどで、『県外の方々をお断りしています』と果たしてうまく言えるかどうか。県内のお客さまはだいたい5~6%だと思います。県外の方々がほとんどでございます」

 結局、営業の再開は困難と判断し、5月21日まで休業期間を延ばすことを決めました。

戸田家の寺田社長:
「飲食店と違って、きょう解禁になったから大丈夫だからということで、すぐにお越しいただけるというスタイルではございません」


 新型コロナウイルスの影響で失ったこれまでの売上は、およそ10億円にも上るという戸田家。先行きが見えない中、旅館では今後、県外からの宿泊自粛が解除されるかどうかを見極めたうえで、さらなる休業の延長や、営業の再開時期について検討することにしています。

 休業を延長するところがある一方で、緩和を受けて平常営業へ戻る動きも…。

 三重県津市の津駅前、人通りが少なく休業中の店ばかりです。「営業自粛」に加え、「時短営業」の貼り紙。そんな中、7日の自粛緩和を受けた動きも。

(リポート)
「三重県津市のこちらの飲食店では、時短営業が明日から解除されることになり、準備を進めています」

 津駅前で地中海料理を提供するレストラン「ダイニング私のキッチン」。先月から時短営業の要請を受け、テイクアウトの注文に切り替えていましたが、売上は半分に…。家賃と人件費に頭を抱えてきました。

ダイニング私のキッチンのオーナー:
「ちょっとは安心というかうれしいんですけど、やっぱりお客さまの動きがすぐ良くなるとは限らないので不安はありますよね」


 解除を受けて、7日からは午後11時までの営業に戻り、お酒も提供しますが、15席ある店の椅子を半分にしました。

ダイニング私のキッチンのオーナー:
「(席数が半分は)厳しいですね。大家さんにも交渉しないといけない(笑)とにかく頑張って、踏ん張るしかないですもんね。試行錯誤、いろいろ考えながら」

 コロナ対策と経済活動の両立…「新しいスタイル」のお店運営が始まります。