社会経済の再始動へ向けた動きが出ていますが、百貨店では今も、食品売り場を除いて休業が続いています。そんな百貨店の今はどうなっているのか、休業中のジェイアール名古屋タカシマヤには、非日常の特異な空間が広がっていました。

 照明も抑えられ、静寂に包まれた空間。

 3カ月前には、チョコレートの祭典「アムール・デュ・ショコラ」が開かれていた、ジェイアール名古屋タカシマヤの催事場。過去最多となる100万人以上の来場者が訪れていました。

ジェイアール名古屋タカシマヤの広報担当者:
「毎日お客様の顔をみながら営業できていたことが、どれだけありがたいことだったのかなっていうのは、本当に身に染みて感じました」


 4月12日から政府の要請を受けて名古屋のタカシマヤは、食品売り場を除いて、全館で臨時休業を続けています。

〈エレベーターのアナウンス〉
「いらっしゃいませ、ベルトにおつかまりの上、黄色い線の内側にお乗りくださいませ」


 耳慣れたエレベーターのアナウンスだけが響き渡る店内…。

 例年5月は、母の日のプレゼントを買うため客が大勢訪れるというフロアも静まり返っていました。

 目玉商品を並べるはずだった棚は空いたまま。

 商品を照らす明かりは落とされ、棚には埃が被らないようにと布がかけられています。そしてそこには、明るく接客にあたる店員の姿はありませんでした。

 新型コロナウイルスで休業を余儀なくされた百貨店業界への影響は深刻です。

 催事の代名詞的な存在である「大北海道展」など、タカシマヤでも3月から5月にかけて、およそ20の催し物を予定していましたがすべて中止に。

担当者:
「物産展というのは、毎回何万人ものお客様にご来店いただく、大変楽しみにしていただいている催事ですので、我々としても力を入れて大切に育ててきたものになります」


 しかし、中止となったからといって、耐え忍んでいるだけではありません。新たな取り組みとして、物産展をオンラインで始めることにしました。これまでもネット通販は行っていましたが、今回は中止となった物産展の商品を販売します。

食品部門の担当者:
「お客様から、物産展が無くなって悲しいというお声もいただいておりましたので、少しでも北海道の美味しいものに触れていただく時間を作れるようにと」


 “オンライン北海道物産展”は6月の開催に向けて、現在準備中です。

 新型コロナウイルスが変えてしまった日常生活。経済活動を再開したとしても、感染の拡大を招かないための“新しい生活様式”が求められます。

 タカシマヤでは再開後の店舗運営について、感染防止を徹底させるための具体的な対策を検討しています。