岐阜県本巣市の「左門岳」で70歳と66歳の高齢夫婦が遭難し、4日ぶりに救助されました。夫婦は沢の水を飲んで4日間しのぐなど、登山の知識があったことで「命拾い」したことが分かりました。

 岐阜市に住む無職の男性(70)と妻(66)は、5月24日、福井と岐阜の県境にある標高1224メートルの本巣市の「左門岳」に登山に出かけ、遭難しました。

 翌25日、息子が捜索願を出し、消防と警察や地元の山岳救助隊が捜索活動を続けました。

 そして、行方不明から4日後の28日、夫婦のワゴン車が見つかった場所からおよそ3・5キロ離れた関市板取川の「銚子滝」の近くで、夫婦が手を振っているのを県警の航空隊員が見つけました。

 夫婦は、足などに擦り傷があるものの、意識ははっきりしているということです。

【登山の知識1:沢の水でしのぐ】

 夫婦は左門岳ふもとの「上大須ダム」を過ぎた林道に車を停め、登山ルートで山頂を目指します。

 山頂にたどり着き景色を見たあと、全く違う方向へ下山し「滝の近く」で発見されました。

 家族によると、夫婦は日帰り登山の予定で食料をほとんど持っていなかったため、4日間、滝近くの岩の隙間に身を隠し、沢の水を飲んだり、焚き火をしたりして救助を待ったということです。

 「左門岳」について地元の登山愛好家に聞くと…。

本巣山人連絡協議会の杉山さん:
「10年以上前ですね、登りやすい山になりましたということで紹介されたことがありました。現在はベテラン向きです。いわゆる『やぶ山』という部類に属しますね」

 「やぶ山」とは、藪だらけで看板もなく、下山する時に道を間違えやすい山とのこと。

 今回、上空から開けて見える滝近くで救助を待ったことや、沢の水が飲めたこと、夫婦で励ましあったことなどが、救助につながったと杉山さんは推測します。

【登山の知識2:登山アプリ】

 今回、夫婦の発見に役立ったのが、登山者用の地図アプリ「ヤマップ」。携帯の電波がつながらなくても山の中で現在地を確認できるもので、夫婦が使用したことが分かり、残された情報から夫婦の居場所の特定に至りました。

 夫婦は、月に1~2度は山に登っていたほどの登山愛好家ですが、それでも起きてしまう遭難事故。警察は十分な知識と準備を持って登山をするよう呼びかけています。