今年は新型コロナウイルスの影響で、多くの花火大会の中止が決まっていますが、全国の花火業者が感染の終息を願って1日夜、各地で一斉に「サプライズ花火」を打ち上げました。

 1日、夜空に咲いた大輪の花。午後8時、全国およそ200ヵ所で一斉に打ち上がりました。

 今回、愛知県豊川市の花火を手掛けた「豊橋煙火」。創業69年、地元のイベントをメインに、打ち上げ花火や手筒花火を作っています。

豊橋煙火の加藤さん:
「(イベントは)中止とか自粛する話ばかりになっちゃって」


 今年は新型コロナウイルスの影響で、岐阜の長良川花火や豊田市のおいでんまつりなど、この地方でも多くのイベントが中止に。豊橋煙火の売り上げも、例年に比べ9割も落ち込みました。

 全国で花火が見られなくなった夏。そこで今回、北海道から沖縄まで、全国160の花火業者が立ち上がりました。実は「花火」にはある由来が…。

加藤さん:
「花火っていうのはもともと『悪い気を払う』という意味合いがあるので、そういう意味を込めて悪い気を払えればなという思いがこもっています」

 日本最古といわれる「隅田川花火大会」。

 その始まりは、8代将軍・徳川吉宗の時代、1733年に開かれた「両国の川開き」。

 江戸で流行した疫病や、大飢饉による死者の供養と「悪疫退散」を願い、この「川開き」で花火が打ち上げられました。

 今回のサプライズ花火には、新型コロナウイルスという「悪疫退散」の願いが込められています。

 1日は、時間は告知されたものの、人が集まらないようにどこで花火が上がるかは完全に非公開。

加藤さん:
「点火しま~す」

 大輪の花火が、一斉に全国の夜空を彩りました。

花火を見た人:
「見られてよかった。たまたま、音がしてるよって聞いて、走って見に来た」

別の花火見た人:
「SNSで(花火の情報を)見て。めっちゃラッキーでした」

加藤さん:
「1年に1回、こういう全国一斉にやる日みたいなものがあっても、日本が元気になっていくんじゃないかなと思うんです。(花火大会が)できるようになったら、きれいな花火をみんなに見せてあげられたらと」

 花火師たちの願いを込めた希望の光。夜空を明るく照らしました。