岐阜市の中古車販売会社で、購入した客から「代金を支払ったのに納車されない」「実は事故車だった」など、詐欺的な被害を訴える声が多数あがっていることがわかりました。

「子供ができまして、大きい車、ワンボックスの車が乗り降りとか、子供も長距離が楽だねと話しをしていまして、じゃあ1回探そうかと」。こう話すのは、名古屋市港区に住む36歳の会社員の男性。
長男が3歳になり、ファミリーカーへの買い替えを検討していました。
会社員の男性:
「(中古車店が)『大変コンディションが良好。不都合箇所などはございません。ご安心ください』と書いてあったりとか、ナビを付けてもうちょっと…と言ったら、じゃあナビを付けて270万円にするよと」

購入を決めたのは、平成31年式で走行距離が3000キロの黒のワンボックスカー。2020年2月に契約し、およそ270万円を支払い、納車を心待ちにしていましたが…。

男性:
「もう4月に入ってからだったんですが、『どうなっていますか』と確認したら、やはり『遅れるから納車できません』という返答がありまして、二転三転して4月の中旬に納車できるよという話がありまして、喜んで店に電車で向かっている最中に電話があって『エラーランプがついたから、今日は納車できない』と」


男性:
「去年の登録の車だったんですが、初年度の登録の方と連絡をとることができて確認しましたら、『昨年の九州の豪雨の際、水没した車だったんだよ』と」

2019年7月の九州豪雨は、記録的な大雨により甚大な被害をもたらしました。

その時に撮影された1台のワンボックスカーの写真、車の中も足元まで浸水していました。名古屋の男性が購入した車です。

男性は弁護士を通じて、購入をやめると通告し、契約時に支払ったおよそ270万円を直ちに返すよう何度も求めてきました。しかし、業者は返金に応じていません。
事故車であることを隠して、売りつけようとしたのか。今回の車を扱った岐阜市内にある中古車販売会社を訪ねましたが、会社のシャッターは閉められたまま。



静岡県の男性:
「『事故して廃車にした車だ』ということを教えてくれました。事故でお子さんを亡くされたと聞いています。小さい子がエアバッグによって打ちどころが悪くてということはおっしゃっていました」
男性も社長に返金を求めていますが、連絡がつかないといいます。
静岡県の男性:

名古屋の男性が、SNSで情報共有を呼びかけたところ、同様の被害を訴える人は全国で30人以上になりました。

男性は警察にも相談をしましたが、「返金の意思がないのか確認できず、詐欺事件での立件は難しい」と言われ、毎月2万9000円のローン返済が続いています。

「口座の仮差し押さえも裁判所を通じてやっていただいたんですが、残念ながら私が知っている口座にお金はほとんど入っていない状態で、回収できるお金はもうほとんどないと。じゃあもう裁判で白黒つけようかと」
7月28日、名古屋地裁で開かれた裁判…法廷に被告の男性は現れませんでした。

男性:

セントラル法律事務所の加藤良登弁護士によると、「事故車」であることを告げる義務を規定した法律はありませんが、消費者契約法では、「消費者に不利益な事実を故意に告げず誤認させたときは、契約を取り消すことができると規定されている」ということです。
中古車を買う際に注意すべき点は「整備会社の検査を受けているか確認」することです。「車両品質評価書」で事故車両かどうかがわかるようになっています。

岐阜県警には同様の被害の相談が相次いで寄せられているということで、慎重に捜査が進められています。
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