愛知県は過去に「民主王国あいち」と呼ばれるなど、旧民主党勢力が強い地域ですが、今、その流れを汲む国民民主党が分裂の危機を迎え、大きく揺れています。

国民民主党の玉木代表(11日):
「合流すべきという人と、合流すべきではないという人で、分党するしかないという結論に至りました」


11日、国民民主党を「分党」する意向を表明した玉木代表。

国民民主党と立憲民主党の合流を巡っては、消費税減税など基本政策が一致しないことなどから、協議が難航。

玉木代表は合流賛成派と反対派で党を分け、玉木代表は反対派と新たな党を立ち上げる考えで、現状、62人の所属議員のうち10人程度が参加する見方があり、残る賛成派は立憲と合流し、新たな党が設立される見通しです。

玉木代表(11日):
「理念や政策が異なる人が集まって、無理やり党を作っても、過去の反省を活かせない」


旧民主党時代、民主王国と呼ばれた愛知県。岐阜県と三重県には現在、国民民主党の国会議員はいませんが、愛知県には衆院7人、参院2人と全国有数の規模を誇ります。

国民民主党の代表代行で愛知県連代表も務める古川元久衆院議員は…。

【合流反対】古川元久衆院議員:
「この条件では私自身は合流はできないと思いますし、(玉木)代表もそういう判断をしたと」

立憲との合流には参加せず、今後も玉木代表と連携して行動する意向を示しました。

古川衆院議員:
「私たちは今までの野党の中で共同会派でやってきた、この仲間が大事だと思っています。やっぱりこの仲間と一緒に行動していくということを考えています。立憲民主党と合流してできる新しい党とも、引き続きこれまでと同じように連携していきたい」


一方、立憲から「移籍」したばかりの山尾志桜里衆院議員も12日、玉木代表と行動を共にする意向を示しました。

【合流反対】山尾志桜里衆院議員:
「なかなか理念と政策が一致しない大きな塊ということであると、参加できないかなと思っています。政策の提案型の中道政党ということで頑張っていきたい」


 愛知15区を地盤にする当選1回の関健一郎議員は、玉木代表に誘われて国会議員になった縁から、これまで政治行動を共にしてきましたが…。

関衆院議員:
「正直悩んでいますね。自分の考え方と違うといってバラバラなのは政権交代に近づかないし。こんなことで1つになれなくて、何が政権(交代)ですかって」


政策や信条を重視した玉木代表の想いに理解しつつも、自民党と対峙するには合流すべきではと、迷いを見せていました。

事務所を訪れた支援者からは…。

関衆院議員の支援者:
「立憲さんと国民民主党とが合併してもらわないと、勝ち目はないと思いますね」

別の支援者:
「(関議員の)将来を考えるんだったら、やっぱり支持率を持っていけるところの所属という形がいいんじゃないのかなと考えます」


 国民民主党の合流の相手・立憲側は…。

立憲民主党の近藤昭一衆院議員:
「まあ、正直言ってちょっとびっくりしました。やっぱり難しいので分党しますみたいな感じで、これまでの議論は何だったのかなと思いました」

離合集散を繰り返す野党に、有権者は…。

70代の男性:
「いつもそうじゃない。まとまってはまた離れる。また同じことの繰り返しだと思うけどね」

19歳の女性:
「分裂して政権とれるんだったらいいですけどね。とれないなら何もできないじゃないですか」

70代の男性:
「本当にもうちょっと野党が強くなってもらわないと、安倍さんのやりたいようになっちゃうので」


 かつては民主党という1つの党にいた「仲間たち」が、なぜすんなり合流できないのか。政治評論家の有馬晴海さんは…。

政治評論家の有馬晴海さん:
「立憲主導であるということが今回の大きい問題で、つまり立憲の方が国民民主党を吸収合併するとか、どうしても立憲民主党側の数の論理みたいな形で進んでいきました。ですけども(党の)金庫に残っているお金というのは国民民主党側に多くありますので、それを狙っての合併ではないかとか。いったん溝ができたものを一緒にというのも、なかなか難しいというところもあるんじゃないかと思います」