日本では未だPCR検査がなかなか受けられないという声もあがっていますが、中国では今、PCR検査を誰でも簡単に検査を受けることができ、件数も多く感染拡大を抑え込んでいるようです。

■中国人は1800円,外国人でも3600円…北京では症状がなくても受けられるPCR検査

(リポート)
「北京市内の病院です。PCR検査はこのように、建物の外から直接入る場所で行われます。特に予約などは必要ありません」

専用の部屋には、防護服姿のスタッフ。椅子に座って、検体の採取は一瞬です。

北京では市内202か所の病院で、症状がない人でもPCR検査を受けることができます。

料金は、中国人は120元以下に定められていて、日本円で1800円もあれば受けることができ、外国人は少し割高ですが、それでも240元、3600円ほどでした。(1元15円で計算)

記者が検査を受けたところ、結果はスマホのアプリで翌朝には確認できました。

 8月に入ってからの新たな感染者はわずか1人の北京ですが、6月に卸売市場で集団感染が発生した時、市外に出るのにPCRの陰性証明が義務付けられました。

今はこうしたルールは解除されていますが、ホテルなどで突然、陰性の証明を求められることがあり、出張や旅行の際「受けておくと安心」とされています。

■新型コロナの「震源地」は1000万人にPCR検査を実施…経済再開遂げた武漢市

 日本と違い、誰でも簡単に受けることができる中国のPCR検査。その威力が発揮されたところがあります。湖北省武漢市。最初に感染が拡大した「震源地」です。

去年12月から周辺で多くの感染者が確認された武漢市中心部にあった「海鮮市場」。いまは市場ごと別の場所に移転し、ひっそりとしていました。

人口およそ1000万の都市全体の「ロックダウン」から半年が経った武漢。そこには今、意外な光景が広がっていました。

(リポート)
「この辺りは、地元で人気の飲食店街ということですが、とても活気があります。ちょっと驚くような賑わいです」

路上のテーブルで食事を楽しむ様子は、患者があふれ、医療崩壊に見舞われていた街とは思えないような賑わいぶりです。

市民の男性:
「武漢はいま一番安全でしょ?何が怖いの?」


市民から飛びだした驚きの一言。「震源地」武漢が安全とは一体…。

市民の別の男性:
「みんなPCR検査を受けているから、どこもすごく安全だと思います」

市民の女性:
「市民全員の検査で受けました。とても安心しました」


女性のスマホの画面には「新型コロナウイルス陰性」と表示されています。他の市民も次々とPCR検査の結果を見せてくれました。

実は、武漢ではロックダウン解除後の5月、同じ団地に住む6人が感染するクラスターが発生。

当局は再びウイルスを封じ込めようと、およそ1000万人の市民全員を対象にPCR検査を実施。19日間にわたる検査で、300人に上る無症状の感染者を見つけ出し、隔離しました。

検査にかかった費用は、およそ140億円に上ったといいます。

市民の男性:
「みんな自分が問題ないとわかるし、周りも感染していないとわかるから、怖がる必要はない」

市民の別の男性:
「少しずつ生活が、以前のにぎやかさに戻っていいと思う」


未曽有の「ロックダウン」から復活を遂げた武漢。PCR検査は、経済再開のための切り札となっていました。