今、ライトノベル「りゅうおうのおしごと!」が話題となっています。10代のプロ棋士が活躍する話で、当初は「ありえない」夢物語だと言われたそうです。

 しかし、藤井聡太二冠の活躍が小説のストーリーを超えてしまい、現実がフィクションを超えたと話題になっています。そんな作者の喜びと戸惑いを取材しました。

■こんな瞬間がくるとは…小説を超える藤井二冠の活躍に作者も驚き

 愛知県瀬戸市の高校生棋士・藤井聡太二冠。8月に史上最年少で「棋聖」のタイトルを獲得し、その後「王位」も獲得して早くも『二冠』、そして同時に八段へと昇段…。”現実離れ”の活躍をしています。

 史上最年少17歳11か月でタイトル「棋聖」を獲得した、藤井聡太二冠(18)。日本中が沸いた快挙に、こんなつぶやきが…。

<SNSでのつぶやき>
「結局、現実が一番面白いのか」
「もはやフィクションを超えた!」
「いよいよ小説よりヤバくてヤバイ」

白鳥さん:
「さすがに(最年少タイトルは)当然とは思えなかったですよ。びっくりしました。こんな瞬間が来るんだと。驚愕ですよね」

 岐阜県出身のライトノベル作家・白鳥士郎さん(38)。白鳥さんの著書「りゅうおうのおしごと!」は将棋を舞台にした作品。シリーズ累計で200万部を突破し、一昨年にはアニメ化もされました。

 主人公の九頭竜八一は15歳でプロ棋士になり、16歳で竜王のタイトルを獲得。その九頭竜の元に小学生が弟子入りする物語です。

 ライトノベルはあり得ない世界観が若者に人気ですが、藤井二冠の活躍はフィクションを超えてしまっているのでしょうか?

白鳥さん:
「『りゅうおうのおしごと!』で高校生をタイトルフォルダーにしたのは、ライトノベルは架空のお話で現実よりも少し上の話を書いていたつもりなのに。もっとすごい人が出てきちゃうと、『これ藤井先生をモデルに書いたでしょ』と5、6年経ったら言われるのでは」

 藤井二冠のデビュー前に発売された「りゅうおうのおしごと!」。主人公、九頭竜のプロ入りは15歳2か月。一方、藤井二冠のプロ入りは14歳2か月。現実がフィクションを超えてしまいました。

■読者をニヤリとさせたい…将棋ファンも唸る『りゅうおうのおしごと!』

「りゅうおうのおしごと!」では、将棋界のエピソードが散りばめられているのも魅力です。

 例えば「僕は悪人で結構です」。実はこれ…。

澤田真吾六段(2017年):
「私は悪人で結構です、藤井君を応援して下さい」


 3年前、連勝記録更新中の藤井二冠との対局を控えた、澤田真吾六段(28)のコメントです。

 さらに、主人公の姉弟子の扇子には「百折不撓」の文字。

 これは藤井二冠が王位戦で破った木村一基九段(47)の座右の銘です。

白鳥さん:
「現実の話も出して、将棋ファンもニヤリとできるっていう作品にしていきたいですね。すごい現実のスピードが速くて、藤井時代が始まるのではないかなと。もっとたくさんタイトルを取って、8つあるタイトルのうち過半数を藤井先生が持ってらっしゃるという。そんな簡単に将棋界を統一するなんてことはねぇ、と言ってると…(そうなるかも)」

■ラノベの帯には「現実に、負けるな」の文字

 8月8日。白鳥先生は新刊の発売日に合わせて、売れ行きの確認も兼ねて書店回りをしていました。しかし、恒例のファンを集めてのサイン会は中止。新型コロナの影響は出版業界にも暗い影を落としていました。

 そんな中、新刊の13巻の帯には白鳥先生からのこんなメッセージが。『現実に、負けるな』。これはSNSでも話題に。

<SNSでのつぶやき>
「ラノベの帯に『現実に、負けるな』って面白すぎるだろw」
「『現実に、負けるな』は、まじで秀逸!」

白鳥さん:
「『現実に、負けるな』はニヤリとしてほしいのはありましたが、コロナウイルスのことがあって本屋さんも休業するなど現実に苦しんでいる中で、藤井先生の活躍もすごいことになっていて。そういうのを見て勇気づけられることもあったので、帯に大きな文字で書いてあったら、勇気づけられる人もいるかなと」

 フィクションを超えた藤井二冠…。現実に負けるな!みんなに勇気を!