2020年8月6日の岐阜新聞に【パンチパーマ再び脚光~関から発信~】という記事が掲載されました。パンチパーマが、時代を越えて令和に再び脚光をブーム…それは本当なのか、調べました。

■昔はいたけど今ではほとんど見られず…パンチパーマをあてる人たち

 1970年代に日本で生まれたパンチパーマは、80年代にかけて流行。当時はヘアカットショーでモデルがパンチパーマにするなど、オシャレなスタイルでした。

 しかし平成に入ると「怖い」「いかつい」といったマイナスのイメージから下火に。今ではほとんど見ることがなくなりました。

 まずは、記事にあった岐阜県関市で、パンチパーマが本当に流行っているのか…。

男性:
「パンチパーマはいないんじゃないかな」

女性:
「昔はようおったけど、あんまり見かけないね」

 やはり反応はイマイチ。しかし、聞き込みを続けると…。

別の男性:
「知っています。リバイバルというか、もう1回パンチパーマの良さを伝えたいみたいなことで、近くの理容室でやっています」


 パンチパーマの良さを伝えようとしている理容室があるということで、向かいました。

■床屋のなり手が少ないので…パンチパーマを通して理容師の高い技術の伝承を

 岐阜県関市にある理髪店「ボノ・ヘアー」。パンチパーマを普及させようとしているのは理容師の久後靖幸さん(44)です。

久後さん:
「流行らせようというか…、似合う人に提供する。若い人で探している人もいるので」

 過去には技術を競う大会で優勝したこともある、華やかな経歴の持ち主です。しかしなぜ今パンチパーマなのでしょうか。

久後さん:
「カリスマブームの影響で美容師が増えて、床屋さんのなり手が少ないので。やれる人、やれる所が少なくなった今、技術の伝承も込めてパンチを普及していければ」

 カリスマ美容師ブームの影響で憧れとなった美容師の数は増え続けている一方、理容師は年を追うごとに減少しています。

 短く切った髪に、細いヘアアイロンで小さくカールを並べるようにかけるパンチパーマ。

 久後さんは、細かく髪を巻いていく、この理容師ならではの高い技術が途絶えてしまう事を危惧し、普及委員会を立ち上げました。

■広めたいのは“ニューパンチ”…サイドは刈り上げ 上部を巻いていく令和のスタイル

 しかし、お客さんの反応は…。

常連客の男性:
「ちょっと古いイメージ」

常連客の別の男性:
「昔はパンチパーマっていうと、見た感じもいろいろ言われた」


 やはり、渋めの反応…。そこへ、少々いかつい男性が来店。

男性客:
「今日はパンチで、ゴリゴリで」


 パンチパーマをオーダー。男性は、年齢と共に髪の毛が少なくなるため、毛があるうちにもう1回パンチをかけてみようと思ったと言います。

 かつて10代の頃は、パンチパーマをあてていたこの男性。 同級生の久後さんの誘いもあり、今回25年ぶりにパンチにすることを決めました。

 まずは、サイドをバリカンで大胆に刈り上げていきます。

 パンチパーマというと、髪全体にアイロンをかける“フルパンチ”です。

しかし、久後さんが新たに普及させようとしているのは、側面は刈り上げて上部をバックに巻いていく、その名も“ニューパンチ”です。

■パンチは熱でかけるから1発勝負…“根本ギリギリから巻く”理容師の腕の見せ所

 サイドを刈り込んだら、いよいよ160度のアイロンを使って、前髪は8ミリ、それ以外は6ミリに巻いていきます。

久後さん:
「根元から巻こうと思うと、どうしてもギリギリなので、緊張感はありますね。普通のパーマは立て直せますけど、パンチは熱でかけちゃうと直しようがないので、1発勝負です」

 高温のアイロンが地肌に触れないように慎重かつ丁寧に。やはり高い技術が必要。理容師の腕の見せ所です。そして…。

男性客:
「懐かしいですね。昔は横も後ろもかけていましたので。今風ですね」


 出来上がりにご満悦の様子。

 久後さんと一緒に普及委員会を立ち上げた常連は、「汗でペタついても、手ぐしで元に戻せ、変な癖がつかないのもニューパンチのメリット」と話します。

 通常のパーマがかかりにくい人にも、ヘアアイロンで細かいところまでしっかり形をつけることができ、かつ落ちにくいパンチはおすすめです。

 ちなみに、久森さんの理容店では、10月に入ってリポートした記者も含め6人がパンチにしました(10月13日時点)。

 岐阜県関市発の“ニューパンチ”のムーブメント。今後も広がっていくかもしれません。