看板メニューも目標の町も『韓国』…寒くても人気のかき氷店で町おこし「地元盛り上げたい」姉と弟の挑戦


 寒い時期でも食べたくなる、女性に人気の「かき氷」の専門店が豊橋にあります。

 営むのは姉と弟。海外のカフェを巡り、研究して作り上げたそのかき氷には、姉弟の地元の町に対する強い思いがありました。

■秋でも冬でも食べられるおいしさ…看板メニューは牛乳を瞬間冷凍した韓国発祥のかき氷

 愛知県豊橋市。豊橋市役所からほど近く、市電が通る大通り沿いにある、小さなコーヒースタンド「Heart to Heart」。

 店はテーブルやベンチなど飲食できるスペースもある、コンテナを改装した小さな構えです。

 看板メニューは、牛乳を瞬間冷凍して削った韓国発祥のかき氷「ピンス」。

 専用の機械に入れた牛乳をマイナス35度で瞬間冷凍。

 それを細かく削り、きな粉や小豆などをトッピング。粉雪のようにふんわりサラサラなかき氷です。牛乳のやさしい甘さが、口の中に広がります。

女性客:
「ふわふわで、新食感ですね」

別の女性客:
「そんなにかき氷という感じじゃないです。年中食べられるデザートという感じがします」

また別の女性客:
「韓国で人気っていうのは知っていて。ミルクっぽい感じの甘さで、秋でも冬でも食べられるおいしさです」

 季節ごとの限定商品もあります。秋は、マロンクリームと栗の甘露煮を乗せた「栗のピンス」です。

■人気カフェを100軒視察し研究…韓国好きが高じて姉弟で出店

 店を営むのは馬飼野美香さん(28)と亮太さん(26)の姉弟です。

 2人はかき氷にもかかわらず、真冬の今年2月に開店。すると徐々に人気が出て、夏には1日100人が訪れる人気店になりました。

 朝晩に寒さを感じる日でも、週末を中心に県外からも客がやってきます。そもそもなぜ、韓国のかき氷なのでしょうか?

美香さん:
「韓国の食べ物が好きで、よく食べに行っていたんですけど、もっと近場で食べたいなと思って。どこにも食べられる所がなかったので、自分で始めた方が早いかなと」

亮太さん:
「韓国に2人で視察に行って、トータル100軒くらい韓国の人気のカフェを回ったりして…」

 韓国好きが高じて、2人で店を出しました。

■カフェがきっかけで発展した韓国の街を模倣して…自分たちの店から地元を盛り上げたい

 地元で好評となったお店ですが、姉弟が店を開いたのには、もう一つ大きな理由がありました。

亮太さん:
「イクソンドンという韓国の町が、コーヒーショップをきっかけに町が発展していった。お客さんが増えると、古民家を改装した店も増えたりして、観光地のような町ができたという流れがあって」

 韓国のソウル中心部にある「イクソンドン」。4年前から、古い建物をリノベーションしたカフェが次々とオープンし、流行発信地として進化を遂げました。

  2人は同じような形で、自分たちの店をきっかけに、豊橋にもっと人が来てくれるようにするのが目標です。

 小さなコーヒースタンドから町おこし。それなら自分たちでもできるのでは、と考えたのです。

■店をガラス張りにして人と人がつながる店に…成功した街にあったヒントを取り入れる

 去年、2人でその「イクソンドン」を訪ね、約100軒のカフェ巡り。成功の秘訣を探り自らの店に反映させました。

 お店をガラス張りにすることにより、客の顔が見え、人と人がつながるコーヒースタンドに。

 イートインスペースには、芝生を敷き、手作りのベンチを設置。寛げる空間を演出しました。

 もともと2人は、市内にある飲食店の長女と長男。実家の店で働く傍らカフェを開きました。父親の直樹さんに話を聞くと…。

父・直樹さん:
「豊橋に人を集めたいという気持ちがあることが、若いうちならできるんじゃないかと思って。親は黙って見届けたいなと思ったんです」

男性客:
「若い世代から盛り上げていけたらいいと思います」

女性客:
「もっと豊橋が元気になったらいいと思うので、応援しています」

■自らの店を中心に豊橋をもっと盛り上げたい…姉弟の次なる想い

 原動力は「小さなコーヒースタンドから豊橋の町を盛り上げる」という想い。具体的には地域の店と連携して、路面電車をうまく活用したスタンプラリーなどを考えています。

 「Hart to Heart」は、豊橋市役所の南、路面電車の札木停留所の近くにあります。二人の挑戦はまだまだ続きます。