“密”を避けられない高齢者施設にある、新型コロナ感染対策の難しさ…。中でも認知症の方の対策には困難が付きまといます。

 取材した特別養護老人ホームの施設長は「特別養護老人ホームは入居者にとって生活の場。ベッドで寝たままというわけにはいかない」と話していました。

 特養の入居者は、進行の度合いに差はあれ認知症の方が多く、職員から「マスクをしてください」といった依頼をしても、なかなかその通りにはしてもらえないそうです。

 しかし、施設はそういう方たちの集団生活の場。病院とは異なり、感染が怖いからと部屋から出ないようにすることもできません。

 職員は、自力で対策がとれない入居者の感染をどう防ぐか、合わせて自分自身の身をどう守るか、非常に厳しい状況で介護をしています。

 名古屋市だけで見ても、これまでに191の高齢者施設で関係者の感染が確認されました。このうち半数以上の97の施設は、11月以降に感染が分かりました。

 講ずることのできる対策として、消毒の徹底、職員・入所者の日々の体温確認などの健康チェックはもちろん、いざ感染者が出た時に、どう対応するかの心構えが大切だと施設長は話していました。中でも出勤できる職員が減ってしまった場合に、職員の負担をいかに減らすかが重要だということです。

 また施設長は、自宅待機しなければいけない職員が出た場合、他施設から応援に回せる仕組みを行政に整えてほしいと話していました。