新型コロナ対策の関連法が改正されますが、まず特措法は、これまで知事が「お願い」して飲食店などが自発的に協力する形だった営業時間短縮などの要請が「命令」できるようになり、従わない場合の行政罰ができます。

 具体的には、緊急事態宣言の前段階に「まん延防止等重点措置」が新設されます。この措置の期間に休業や時短営業の命令に事業者が応じない場合、罰則として30万円以下の過料が課されます。

 また立ち入り検査の拒否にも20万円以下の過料です。

 さらに緊急事態宣言下では、命令に応じない場合の過料は50万円以下となります。こうした罰則を設けることで地方の取り組みの実効性を高める狙いがあります。

 ただ罰則で厳しくするだけでは効果は上げにくいということで、改正案では国と自治体に対し、要請や命令に応じる事業者への支援を義務付けます。

 ある自治体の幹部職員は、「事業者が『それなら応じられる』という支援策を用意できるかがポイントだ」と話していました。

 例えば、抱える従業員数に応じて協力金に差をつけるといった策です。

 一方、感染症法にも罰則が設けられますが、こちらは前科のつく「刑事罰」です。感染者が入院を拒否した場合、1年以下の懲役または100万円以下の罰金となります。

 また保健所の調査を拒否した場合も50万円以下の罰金です。さらに医療機関に対しても、患者受け入れ勧告に従わない場合、名前を公表できるとしています。

 しかし医療機関名の公表については、医師からは法改正の前にもっとやるべきことがあるという指摘もあがっています。

 これまで政府は新型コロナの感染抑止を国民への「お願い」で乗り切ろうとしてきましたが、第3波の、特に12月以降は行動の抑制につながりませんでした。

 そのため法改正をして「お願い」に強制力をつけて命令できるようにし、「従わないと罰しますよ」というカードをちらつかせることで、応じさせたいという意図が見てとれます。

 今回の改正案は、緊急事態宣言の期限の2月7日を睨みながら審議が進むことになります。

 野党だけでなく与党内にも感染症法の刑事罰はやり過ぎではという声もあり、国会での審議で修正される可能性はあります。

 いずれにしても、政府・自治体は法改正と並行して国民の納得と協力を得られる仕組みを示す責務があると言えそうです。