緊急事態宣言が愛知県と岐阜県も3月7日まで延長されることになりました。緊急事態宣言の効果も現れ始めてきましたが、愛知・岐阜も宣言延長と判断された理由はどこにあるのでしょうか。

 これまで11の都府県に出されていた緊急事態宣言ですが、解除されたのは栃木県だけ。愛知・岐阜は首都圏などに比べると感染状況が落ち着いてきているものの、もう少し慎重に見るという判断となりました。

 緊急事態宣言の判断材料になる指標では、人口10万人当たりの新規感染者数は、愛知県と岐阜県に緊急事態宣言が出た頃と、直近の1週間を比較すると減少。愛知はステージ3まで下がり、岐阜はステージ3を下回るところまで来ています。

 宣言とそれに伴う飲食店の営業時間の短縮などが効いているといえます。

 しかし、ポイントは病床使用率。緊急事態宣言が出された頃と今と、さほど変わっていません。愛知はステージ4のままで、岐阜はステージ4の基準を僅かに下回ったところです。この医療現場のひっ迫が改善していない点が、宣言延長の大きな理由といえます。

 今回の延長にあたり、状況が改善されれば早めに解除することもあるとされていますが、これがもっと下がらないと宣言解除とはならないとみられます。

 病床使用率がなかなか下がらない理由については、入院する人は高齢者が多く、入院期間が長引く傾向があるため。なかなか症状が改善しないケースがあるということです。

 また新型コロナの入院患者には、発症から10日経ち、かつ症状が無くなって72時間以上という退院基準があります。本来はこれに沿って、出られる患者は退院し病床を新たなコロナ患者に回すというのがあるべき形です。

 しかし、高齢者が長い間ベッドで寝た状態で過ごすと、以前のようには歩けなくなったりしていて、家族が元のようになるまで入院を求めるというケースもままあるそうです。

 一方で、そうした回復期の患者を受け入れる病院にも専門の医師がいないことや、他の入院患者やスタッフが受け入れに難色を示す、受診控えが起こる恐れがあるなど課題があり、簡単ではありません。実際、受け入れた回復期の患者の症状がぶり返し、PCR検査で陽性と出たというケースもあったそうです。

 愛知県は転院を受け入れた病院に、1件につき10万円を支給する制度を設けるなど、各地で大病院のコロナ病床を確保するための取り組みが始まっています。

 病床逼迫が続く名古屋市では、既にコロナ患者を受け入れている病院の他に、病床が20床以上ある病院がおよそ100あるとされていますが、医療関係者の協議や行政の働きかけで、このうち40ほどの病院が協力する方針だということです。

 そして仮に病床使用率が下がって、3月7日より早く宣言が解除された場合でも、飲食店の営業時間の短縮については、一度に解除ということではなく、例えば対象を酒類を提供する店に絞ったり、時間を21時までにしたりするなど、段階的に緩和されていくのではないかと考えられます。

 この辺りは、感染がどこまで落ち着いたところで緊急事態宣言が解除されるのかによって変わってきそうです。