政府が緊急事態宣言解除の前倒しに踏み切る理由は、感染状況を示す指標が改善したためです。 政府はその目安としてステージ4からステージ3に改善すること、そしてステージ2を目指すとしていました。

 愛知県と岐阜県の人口10万人あたりの1週間の新規感染者数はいずれも現在ステージ2です。

 病床使用率もかなり改善しています。客観的に指標の数字が改善しているなら解除しようという考えです。

 2月末で愛知・岐阜の緊急事態宣言が解除された場合の東海3県の対応については、まず愛知県では県をまたぐ不要不急の移動自粛について愛知県の大村知事は「宣言前の段階に」としていて継続される見通しです。

 解除されても、旅行などは不要不急でないかどうか吟味する必要があります。

 そして5000人または50%以下の人数制限が要請されているイベントについては、国が上限を5000人から1万人へ緩和する方向で調整していることから、愛知県でも収容率は50%、上限人数は1万人とし、一か月後に上限の撤廃を検討するとしています。

 これは、プロ野球などの大規模イベントは上限を設けずに50%に戻すと2万人規模になることから、経過措置を設けて状況の変化に対応したいという意図とみられます。

 営業時間の短縮については、宣言前の段階と同じ午後8時から9時に、協力金は1日あたり6万円から4万円に、対象は県内全ての飲食店です。

 愛知と同様に現在すべての飲食店を対象に午後8時までの時短要請が出されている岐阜県も、古田知事が26日午後5時から開かれた記者会見で、3月1日から時短を午後9時までに緩和し、協力金を4万円とすることを明らかにしました。

  県独自の「緊急警戒宣言」を出している三重県では、時短要請はすでに終わっていますが、移動の自粛は前倒し解除はせず3月7日まで継続することにしています。

 三重県の鈴木知事は継続することにより引き続き感染拡大を抑え、ワクチン接種に向けた医療機関の負担軽減につなげたいとの思いがあります。

 宣言解除で一番気がかりなのは気が緩んで再び感染拡大が起きる「リバウンド」です。

 25日、新型コロナ対策にあたる政府の分科会の尾身会長は「緊急事態宣言が解除されると人々の意識、社会の雰囲気が変わって感染対策が疎かになりやすい。リバウンドが誘発される可能性は十分ある」と警告しています。

 そこで分科会として次のような提言をしました。

 まず食事については「昼夜、平日休日ともに混雑した場での食事は控える。会食はいつも近くにいる人と4人までで」。さらに「卒業旅行、謝恩会、歓送迎会は控えて」「お花見は宴会なしで少人数で静かに」。飲食店に対しては客が大きな声を出さなくて済むよう「BGMを最小限に」としています。

 2月に新型コロナの改正特措法が施行され、緊急事態宣言と同様、罰則規定が適用される「まん延防止等重点措置」が新設されましたが、今回この適用は見送られます。そのため3月からの各県の対策は以前と同様、県民や事業者の皆さんに「お願い」する対策です。

 一足早く2月8日に解除された栃木県では今のところリバウンドは起きていません。栃木県は人口が200万人弱で岐阜県とほぼ同じ規模ですが、今のところ感染者は1日あたりおよそ10人で落ち着いています。

 宣言解除後、午後9時までとしていた県独自の飲食店への営業時間短縮要請も2月21日に終え、22日からは国の対処方針にあるモニタリング検査を始め、街頭でPCR検査キットを600個配布していて、感染拡大の傾向を早い段階でキャッチして次の対策につなげることにしています。