愛知県豊橋市に、障害者や介護中の主婦、不登校の人や引きこもりの人など、様々な人が働く人気のチョコレート専門店「久遠チョコレート」があります。

 世界の厳選したカカオに、日本各地の素材を混ぜ合わせたそのチョコレートは評判となり、全国17か所のデパートに出店しています。コロナ下で挑戦を続けるスタッフに密着。半年間を宮本信子さんのナレーションでドキュメンタリーにしました。

■従業員約500人の9割が女性と障害者…トップブランド「久遠チョコレート」

 日本一の売上げ、チョコレートの祭典「アムール・デュ・ショコラ」。ここに出店できるのはチョコレートブランドの憧れです。4年連続で果たしているのが「久遠チョコレート」です。

 本店は愛知県豊橋市にあり、現在北海道から鹿児島まで51拠点。従業員およそ500人のうち9割が、女性と体や心などに障害ある人たちです。

 代表の夏目浩次さん(43)は、7年前に久遠チョコレートを開業し、年商10億円のブランドに育てました。

夏目さん:
「雇う側だって失敗してもいいし、働く側だって失敗してもいい。上手くいかなくてもいいんですよ。ただ必要なことは諦めずにもがくこと」


■かつての職場でパンを焦がすなどの失敗も…働きながら自立目指す障害者

 2020年12月には福岡県・直方店がオープンしました。厨房でチョコレートを作るのは、知的障害がある原田諭さん(29)です。

原田さん:
「まだ慣れないんですけど、やってみると楽しいです。おいしくなーれ、おいしくなーれって」


 障害のある人が働く福祉施設では、1か月働いても平均1万6000円。経済的に自立しにくい現状があります。原田さんもかつては福祉施設でパンを焼いていました。しかしパンを焦がすなどの失敗をし、給料から天引きされたこともありました。

 1人暮らしが出来るようになった原田さん。久遠チョコレートで働くようになって月給10万円以上に。原田さんは「綺麗なお菓子を作る製菓職人になりたいです」と夢を語ります。


■夏目さん「多様な人の雇用なんて夢物語なのか」…注目集める一方で厳しい現実

<久遠チョコレートに寄せられた質問>
「施設の方の手で作られた食品は、衛生面は大丈夫なのでしょうか?」

夏目さん:
「なんで障害者が作ったからということで、衛生面は大丈夫かとか言われなきゃいけないのかな」

 全国の福祉施設から注目を集める一方、もがき続ける厳しい現実も…。

夏目さん:
「事業拡大しすぎたんかな。そしたら給料出せないですよ。多様な人の雇用なんて夢物語なんですかね…」

 東海テレビでは、3月27日(土)午後2時から「久遠チョコレート」に密着したドキュメンタリー番組「チョコレートな人々」を放送します。

 ナレーションを担当した女優、宮本信子さんは「希望や夢がどんどん大きく広がっていってほしいし、応援したいなと思っています」と話しています。