5月9日は「母の日」です。母の日といえば、カーネーション。ピンクのカーネーションの花言葉は「感謝」、そして赤は「母への愛」です。母の日を前に人気の生花店を訪れる人々には、花に込めるそれぞれの想いがありました。

■離れ離れになる友人へ「元気でね」…想いを込めた花

 真っ赤なカーネーションに、優しいブルーのシネンシス…。名古屋栄の広小路通沿いの生花店「坪井花苑本店」には、カラフルな花が彩ります。この時期は母の日の花をはじめ、70種類以上が揃います。

 午前9時オープン。1人の女性がやってきました。福井県へ引っ越すママ友へプレゼントする花を買いに来ました。

教師の女性(60代):
「元気な彼女なので、元気が出る色。イエローとかビタミンカラーで選びました」

 選んだ花は、「ヒマワリ」や「ヒペリカム」。その足で、友人の元へ花を届けます。

花を受け取った友人:
「ありがとうございます。お花もらうのはいいですよね」

 離れた土地でも元気で。20年来の友人へ、そんな想いが込められた花です。

■26年勤めて退職する同僚へ…労いの大好きなブルーの花束

 正午。こちらの女性は、注文していたバラとシネンシスの花束を受け取りに来ました。退職する同僚へのプレゼントです。

会社員の女性(40代):
「春らしく、ブルー系で。ブルーが好きな方だったので」

 近くのヘアアクセサリー会社に勤務。26年間勤めた同僚が退職する日に手渡します。

花を受け取った同僚の女性(63):
「大好きな色、嬉しいです。作ることが大好きで頑張って来たんですけど、年齢には勝てないというか…。細かい作業なので」

 この女性は、退職後は小筆の書道に挑戦するといいます。第2の人生のスタートです。

■伝えきれない気持ちを花に…子供が感じる母の偉大さ

 午後。訪れる人たちのお目当ては、母の日にプレゼントする花です。こちらの女性はコロナで手渡ししづらいため、郵送でも日持ちがするピンク色のアジサイにしました。

会社員の女性(29):
「最近結婚して、家事とかで手一杯です。母ってすごいなって思いましたね。結婚してありがたみをわかったので」

 こちらの女性は、コロナで会えない遠方に住んでいる母に…。

会社員の女性(26):
「大学から家を出ているので。感謝じゃないですけど、言葉では言えないので」

専門学生の男性(18):
「毎年カーネーションを渡しています。普段お弁当作ってくれる。送り迎えとか日ごろの感謝を(口では)言いづらいので」

 選んだのは母の好きなピンク。伝えきれない気持ちを花に込めます。

■シャクヤクを買った女性…亡くした夫のそばに大好きな花を

 午後3時。ご年配の女性はシャクヤクを購入しました。

女性客(85):
「お花って気持ちを温かくしてくれるでしょ。去年主人を亡くしましたので、今一人でね」

 玄関と、ご主人の仏壇にお花を飾ります。自身の好きな花を夫のそばに…。独りの寂しさも和らいでくれるといいます。

■108本のバラで「結婚してください」…口下手な彼からのメッセージ

 幸せいっぱいのカップルを見つけました。結婚の挨拶のため、彼の家へ持っていく花の購入のために訪れました。

カップルの女性(20代):
「緊張します。彼のお母さんには初めて会います」

 この女性はプロポーズされた時に108本のバラをもらいました。この108本のバラには、彼のある気持ちが込められていました。

 108は10と8の語呂合わせで「永遠(とわ)」。108本のバラの花言葉は「結婚してください」。口下手な彼らしい、ロマンチックなメッセージだといいます。

■祝い花に背中を押される…ビルのテナント埋まらず自ら開店したオーナー

 閉店間際に女性がやってきました。

飲食店を経営する女性(50代):
「赤とオレンジで元気な感じがいいかなって。大きめにって頼みました。」

 注文したスタンド花は、隣のビルのオーナーが開いた店の開店祝いです。このオーナーは、ビルのテナントが埋まらないため、自らお店の開店に踏み切りました。

 その店が4月23日にオープンした「ひつまぶし 一葉」です。感染症対策で全席個室にしました。甘めの特性ダレと産地直送の国産ウナギで勝負します。

「この時期のオープンには不安はある」と語っていた店長の予想通り、初日は6時間の営業で、客数はわずか6組。我慢の日々が続きます。

スタンド花を受け取った店長:
「わぁ、お花まで。ありがとうございます。きれいです。ありがたいです」


 開店の祝い花を受け取った店長は「うなぎの文化が強い名古屋で、認められるように頑張ります」と前を向きます。

 花で人や街を元気に。母の日を前にした生花店には想いを花に託す人々の姿がありました。